恋愛だけが、特別なのではない。

 ある日、海で、一人の女子高生が死体となって発見された。
 これは、「恋愛」を扱うコンテスト応募作にあって、異質な「非恋愛」の物語である。何故なら、この少女の死の真相に迫る主人公は、恋愛感情が分からない性質の持ち主だからである。
 主人公の性格はどれをとっても、無味乾燥気味だ。だから、友人(主人公にとっては知人程度かもしれない)が海で死んだ時も、疑問が先にあった。何故、死んだのか? 自殺か? それとも殺害されたのか? 恋を知れば、その謎が解ける気がした。だから主人公は、自分に好意を寄せる生徒と付き合うことにした。恋愛を、してみることにした。
 ところが、「好き」も「愛」も、結局分からないままだった。そんな中、友人が付き合っていたとされる男子生徒から、主人公は恋愛が理解できない人間だと告げられる。
 恋愛だけが特別な経験ではない。どの経験も、人を成長させてくれる。
 そして、友人の死の真相にたどり着いた主人公がとった行動とは?
 恋愛という、一見甘いものの痛みを、描ききった作品。

 あなたが知っている恋愛は甘いですか? 
 それとも、痛いですか?
 両方ですか?

 是非、是非、ご一読ください。

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