多分、この世で一番複雑なもの。

  • ★★★ Excellent!!!

この作品で主題となるテーマは、「他者の思考/想い」だと思った。

「他者の思考/想い」というのは、きっとこの世で一番複雑で、不確定で、あいまいなものの筆頭だ。
人間の一人一人が、毎時毎秒「思考」している。「想い」は移ろい変わりやすいものだから、尚更よくわからないものだ。
「思考/想い」というものは、結果が似かよっても、答えに至るプロセスが全く同じものになることはない。(と、考えている)

さて、前置きが長くなったが「恋を知らぬまま死んでゆく」の主人公は、二つの謎に挑戦することになる。

一つは、他者の思考と想い。
もう一つは、自分の思考と思いだ。


***

「恋を知らぬまま死んでゆく」の見どころは、主人公が、二つの謎に誰よりも真摯に向き合い、知ろうとする姿勢にあると思う。
二つの謎は、答えがあるようでなかったりする、あいまいで不確定なものだと僕は解釈している。
もしかしたら、一生を賭けてもわからないかもしれないことを、読者である僕はよく知っている。
主人公はそんなことはお構いなく、行動して、自分と、他者と向き合おうと努力する。
僕はその姿に胸を打たれた。
一生を賭けてもわからないかもしれないことに向き合える彼女が、とても眩しく見えた。

主人公が「自分/他者」と真摯に向き合うプロセスを追えることに、僕はこの作品の価値を見出しました。(勝手な解釈ですが……)
僕はなんとなくだが、自分なりの「答え」を得たように思う。
主人公が「答え」に辿り着けたかは、是非本編を確認して欲しい。

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