「いつか必ず」を信じている人へ

目をつむれば目の見えない人の気持ちが理解できるだろうか。
耳をふさげば耳の聞こえない人の気持ちが理解できるだろうか。
まやかしの寄り添いは、瞼を上げることで、耳にあてがった両手をのけることでいとも容易く崩れ去ることを知っているだろうか。

性別を問わず、人はいずれ人に恋するものだと信じていると思う。

好きな人が自分以外の誰かを好きになることが恋の苦しみだとするなら、誰かを好きになる気持ちを理解できないことは何の苦しみと呼べばいいのだろう。

どんな人でもいつか必ず恋をするものだと思っている人こそ、この小説を読んでほしい。

人を好きになる気持ちを理解できない苦しみが、その冷たさや周囲の温かさを濁すことなく描かれています。

とても、とても美しい作品です。

その他のおすすめレビュー

真乃宮さんの他のおすすめレビュー59