AIの発達によって、完璧な必勝法が発見された未来の将棋の世界。だが、人類は将棋を捨てきれず将棋の世界をさらに拡張することにした。
まずは将棋のマスを9×9から、49×49にまで拡大し、さらにABCという高さの概念も追加! さらにさらに棋士は特殊な属性のオーラ使うことで、駒にオーラをまとわせて従来とは違う駒の動きを実現!! さらにさらにさらにオーラをまとわせた駒を投げつけて対局者を直接攻撃することも可能!!! これもう将棋じゃないのでは……。
話が進むにつれて能力がやたらインフレしたり、味方キャラがあっさり死んだりと、もうただの能力バトルなのでは? と思ったりもするのだが、かつての伝説の棋士の故事に従って手の震えが覚醒のサインになっていたり、AIに詳しい棋士の名前がどこかで見た名前だったり、主人公の開発した『たれぞーシステム』が実際の将棋の戦法を彷彿とさせたりと、ところどころで現実の将棋にちなんだネタが出てくるから侮れない。
各話のラストに載っている『100年後の将棋について』という解説も妙にそれらしくて楽しい。やっぱ振り飛車はダメなのか……。
一話一話が短くバトルの連続でテンポよく進むし、バトルの内容も将棋がわからない人でも楽しめるように書かれているので、将棋に詳しくないという人も安心して読んでほしい!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)
設定が亜空の彼方にぶっ飛んでいるくせに、何故か文字を目で追っている。
ここまでの破天荒な作品を読ませるのは、作者の技量ありきだと思う。
駒一つで命のやり取りを地でいっている。棋士たちの翔ぶような駒捌きは、字面だけでも十二分に伝わってきて、ライヴ感が堪らない。
将棋は、オーラという新たな力を得て、盤外を飛び出し、ついには人を殺める凶器と化してしまった!
一旦冷静になると、「お前たち将棋を指せ」と言いたくなるが、この作品が醸し出す凄味の前には、次第にそれも野暮だと思えてくる。
読み進めるごとに、改めて将棋の良さを考えさせられる素晴らしい作品。
あと、ぼくのすいみんじかんをかえしてください。
なんだこれは……これが百年後の将棋なのか(困惑)
この作品を読んで自分の中の将棋という概念が覆されたのを感じました。はい、これが『将棋』です。これこそが『将棋』です。
AIが人間社会に浸透し、もはや支配されたと言っても過言ではない近未来が舞台。そんな世界の中で数少ない生き残ったボードゲーム、それが将棋。しかし、AIの支配はそれにも及んでおり、なんと座って勝負するこれまでの形式が崩壊。その代わりに炎や水といった属性をまとい、飛車が飛ぶ、花車が貫く、歩が轟く。そんな物理的な攻撃方法を取得するといういったいどう進化したらそうなるのか知りたくなってしまうような形に変化していた。えぇ……。
この現代将棋に投じる主人公。棋士の中でも希少な属性を持っているにも関わらず、そのバトルスタイルゆえにあまり勝率は高くない模様。そんな主人公を気にかけている(?)ヒロインは主人公よりも格上にして歳下、そして女性らしからぬぬ口の悪さが特徴的。他にも個性的な仲間たちがいる中での大会。その最中に起きる様々な事件に巻き込まれ始めていく……
これ本当に将棋ですよね⁉︎(唐突に正気に戻る)
個人的に今まで読んできた中で一番映像化したものを見てみたいという気持ちになりました。いいですよね、なんかこういう普通じゃない感じのバトル物。僕は好きです。
第二章からはさらに将棋離れした将棋が始まる⁉︎ 期待値は最高クラス!
是非とも一読を。これが真の『将棋』だ。