AIの進歩がもたらした新たな将棋。それは将棋の終りか、新生か!?
- ★★★ Excellent!!!
AIの発達によって、完璧な必勝法が発見された未来の将棋の世界。だが、人類は将棋を捨てきれず将棋の世界をさらに拡張することにした。
まずは将棋のマスを9×9から、49×49にまで拡大し、さらにABCという高さの概念も追加! さらにさらに棋士は特殊な属性のオーラ使うことで、駒にオーラをまとわせて従来とは違う駒の動きを実現!! さらにさらにさらにオーラをまとわせた駒を投げつけて対局者を直接攻撃することも可能!!! これもう将棋じゃないのでは……。
話が進むにつれて能力がやたらインフレしたり、味方キャラがあっさり死んだりと、もうただの能力バトルなのでは? と思ったりもするのだが、かつての伝説の棋士の故事に従って手の震えが覚醒のサインになっていたり、AIに詳しい棋士の名前がどこかで見た名前だったり、主人公の開発した『たれぞーシステム』が実際の将棋の戦法を彷彿とさせたりと、ところどころで現実の将棋にちなんだネタが出てくるから侮れない。
各話のラストに載っている『100年後の将棋について』という解説も妙にそれらしくて楽しい。やっぱ振り飛車はダメなのか……。
一話一話が短くバトルの連続でテンポよく進むし、バトルの内容も将棋がわからない人でも楽しめるように書かれているので、将棋に詳しくないという人も安心して読んでほしい!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)