僕らもきっとこういう恋をしてきたんだと思う

ひとり暮らしの女性が隣人男性に恋するお話。

全エピソードを通して、女性の心情描写がとにかく美しい。
ささいな日常の一コマを飽きさせないアングルから次々に捉えていく。
初恋のようなひたむきさ、ためらいの気配、すれ違いがもたらす痛ましさ。
どこまでも根を伸ばしていく恋心――

僕自身、こんな素敵な恋愛をしてみたかったと強い憧れを抱きながら読み終えた。

読了からしばらくして妻とのかつての思い出を振り返ると、僕らもまたこの物語に登場する二人と同じようにきらきらと光る煌めきを経験してきたことに気づかされた。

「砂村かいり」という作者はどこにでもありそうな、ありふれた恋をこんなにも愛しい物語としてこの世に残したのかと胸が震えた。

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