概要
今宵の炎は誰が為に燃ゆ
纏(まとい)。それは、江戸時代の火消しの旗印。
今夜もこの町で、火の粉が舞う。その裏に秘めた、三人の、いや、四人の想いを抱えた、悲しみの炎が。
※用語説明
大福帳……現在の顧客名簿のこと。
今夜もこの町で、火の粉が舞う。その裏に秘めた、三人の、いや、四人の想いを抱えた、悲しみの炎が。
※用語説明
大福帳……現在の顧客名簿のこと。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!それは燃え盛る炎のように、この身を焦がして。
火事と喧嘩は江戸の華。この作品は、まさに江戸の火事を扱った作品である。呉服屋に嫁いだ弥生は、ただ、想いの人に再会するために、店の裏口に放火する。江戸時代、放火は大罪だった。それでも、弥生は想いの人の元へ急ぐ。ここまでは江戸を舞台にした「お七」の昔話を彷彿とさせるだろう。
しかし、この物語はさらに思わぬ展開を見せる。
弥生は想い人と文を交わし、言葉を交わし、両想いだと信じていた。
呉服屋に望まぬ輿入れをしたときも、お互いにお互いを好いていたと思い込んで、疑いもしなかった。しかし、弥生の想い人の心の中にいたのは、別の女性だった。いや、ある別の意味で、想い人は弥生のことを想っていただろう。…続きを読む