第34話 メランコリー

赤い紅茶にミルクを一滴

銀の匙からしたたらす

少しは苦みも和らぐかしら?


あの日淹れたコーヒーは

闇のような色彩で


それでも胸を焦がさずに

のどを潤してくれたのに


どうしてこんなに馴染んだはずの

紅茶が私を苦しめる



帰り来る日のあなたのために

空けた隣の席はそのままで

そっと手紙を出したのに

きっとあなたは気づいてもいない

薔薇の模様の茶器はもう

棚の隅に片付けたまま


いつかは一緒に午後のお茶

飲みたかったのも終いの望みとなり果てて


ただ一人飲むミルクティー

甘いはず

温まるはずが苦しくて


忘れなきゃとただ一人


明日を向くよう奮わせる

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