第35話 秋の訪れ

太陽はまだ暑い


蒸したこの盛夏なのに

一人歩くこの夜道にはもう


秋が密やかに訪れている



星は空に輝いているのに

私の手からはあまりにも遠く 届かず



諦めかけたこの日々を

枯れかけた向日葵が嗤う


でも想い出して?

あきがくれば


新しい涼し気な風と 心地よさが

君と僕の心と身体とを囲う


喪ったと思い込んでいただけで

本当は今もそれぞれの幸はそこにいる


優しい風は消えやしない


空の星も光を放ち


私たちを導き続けている



夏が終わり、

秋を迎えるころには


情熱は去り


何もかも喪ったように想えるけど


本当が始まるのはここからなんだよと


君が微笑む瞳が優しく僕をみつめる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る