概要
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!『現実のひとたち』と、じゃない人たちの『そこ』
「現実のひとたち」。このワードだけで拍手喝采モノなのだけど、なんてことだろう、別にこの小説の中でこの言葉は格別に目立つというわけでは多分ない。意図的に目立つように書かれてはあるけれど、それはそうしなければいけない程度の言葉であることの裏返しでもあって、でも個人的に一番やられたワードはコレです。現実のひとたちの現実の風景、それは、とても強い。弱ってると本当にやられる。大事なのはわかるけど見るのがつらい。そういうリアリズムが感じられるのはなんていうかこう、面白いとかつまらないとかではなく、信が置ける、という感覚に近い。この小説ももう1つの本山川小説もそうだけれど、『現実のひとたち』のフィクション…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!夏を、あの人と
爽やかでほろ苦い青春小説です。あまり健全ではないタイプの恋。開かれた青い夏空の底でぶくぶくと溺れているような。はたちの夏休みだというのに外に出ずに部屋の中でずぶずぶと溺れている。
夏が終わるころに、部屋を出て、ちゃんと別れを告げる。
ただそれだけの。
キャッチで引ている人はぜひ読んだ方がいい。直接的な描写もなく非常に淡々と、爽やかに、とある恋の帰結が描かれています。下品な話ではないので安心して読んでください。十六歳以上なら絶対大丈夫です。
で祭りが終わったころにもう一回読んで、レビューとか見直してみるとなお面白いかもしれないですね。
青の使い方が綺麗で印象的な作品です。 - ★★★ Excellent!!!そのまま読んでもいいけど……さ
最後まで「あれ? 思ったより普通の話だな」と思ったのですけど、なんとなく引っかかりというか「澤子ちゃんがなんの仕掛けもない話を書くわけがない」という直感があり、何度も読み返して隠されたトリック的なものがないかウンウンと首をひねってしまいました。
で、私が飼い犬のカレドをトリミングしてもらった帰り道、ちょうど澤子ちゃんがスタバで豆乳ラテをズルズルすすりながら「もう仕事やめたい」と壁に向かって呟いていたので、世間話するついでに本作の内容について聞かせてもらったんです。
すると澤子ちゃんは手から鳩でも出すみたいにくるっくるっ手のひらを回して「ウフフ、実はね……」とグレイテストショーマンのヒ…続きを読む