そのまま読んでもいいけど……さ

 最後まで「あれ? 思ったより普通の話だな」と思ったのですけど、なんとなく引っかかりというか「澤子ちゃんがなんの仕掛けもない話を書くわけがない」という直感があり、何度も読み返して隠されたトリック的なものがないかウンウンと首をひねってしまいました。

 で、私が飼い犬のカレドをトリミングしてもらった帰り道、ちょうど澤子ちゃんがスタバで豆乳ラテをズルズルすすりながら「もう仕事やめたい」と壁に向かって呟いていたので、世間話するついでに本作の内容について聞かせてもらったんです。
 すると澤子ちゃんは手から鳩でも出すみたいにくるっくるっ手のひらを回して「ウフフ、実はね……」とグレイテストショーマンのヒュー・ジャックマンばりのドヤ顔で、作中に隠した『とある意図』について解説してくれました。
 ネタバレになってしまうので具体的な言及は避けるのですが、澤子ちゃんが本作を書くにあたってなにを考えていたかというのを示すヒントみたいなものをレビューの末尾に添えておきます。
 本作を読み解く助けになれば幸いです。最後まで解説を聞いたとき、私は「もしかしてこいつ、ちょっと頭がおかしいのかな」と思って怖くなりました。普段なに考えてんの。マジやべーやつじゃん。




【ヒント】
 本作が投稿された自主企画のお題は【女性一人称縛り】です。
 たとえば料理人同士による【カレー対決】に出場するとき、あなたはまず美味しいカレーを作ることを考えるでしょう。そして審査する側も、出されたものをカレーだと思って口にするでしょう。
 しかしカレーはカレーであるという前提のもとでのみカレーであり、もし後日、なんらかの理由でその前提が崩れたらどうなるのでしょう。
 あなたが食べたカレーはハッシュドビーフと呼ばれているかもしれませんし、あるいはまったく別の料理になっているかもしれません。
 わたしたちはカレーはカレーであると規定しているからこそ、カレーはカレーとしてそこに存在しているのですから。



 

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