ため息が出るほどの美貌を持った勇者ルリジオは、格の高い女神の加護を受けていて、どのような魔物にも負けることはありません。
数々の魔物を退け、多くの民を救い続ける彼は紛れもない大英雄、なのですがーー
タイトルから、お下品な小説だと思った人も多いのではないでしょうか。実際この小説は、まさに狂っているとしか言いようがないほど「巨乳」に執着するルリジオの物語であり、ありとあらゆる語彙で巨乳を褒めそやすルリジオの狂気はコミカルですらあります。しかし、この小説は単なるコメディ小説ではありません。
ルリジオは、「巨乳狂い」でありながら、全人類、いや、全種族に対してスタンスは変わらないのです。種族が違ったり、人に害なす者であっても力任せに蹂躙することがない彼は、どこまでもまっすぐだと感じました。
彼の判断基準はただ「巨乳であるかないか」それだけです。
彼の一切折れない主義に、最初笑っていた私も読み進めるうちに尊敬の念を抱くようになりました。
狂気も突き詰めると天晴れである、と知らせてくれた小説です。
(「主人公が我が道をゆく小説」4選/文=芦花公園)
おっぱい大好きな最強の英雄サマが、次々と巨乳の妻をめとっていく話。なんだけど……「巨乳であればいい、逆にいえば巨乳であればほかのことは気にしない」という価値観のメンズなのでゲットしていく女性陣が皆かなりハードコアな人外キャラですね??
おかげで作品全体の雰囲気がピーキーというか、マニアックな性癖のオンパレード。さりげなくモン娘たちの描写が綿密で、読んでいると「あれ? 神話かなこれ」と考えてしまいます。なんだこれ。
たとえるなら天野喜孝の画風で描かれた美男子が「だって巨乳ですよ!?」と言いながら初期FFのモンスターを嫁にしていく感じですね。
わかります? ごめん、たぶん読んでみないとわからないかも。
というわけで本作はいい意味でタイトル詐欺。カクヨムらしいエッジが効きすぎてセーブポイントのないクリスタルタワーと化した、コアな読者ほど楽しめそうなやつ。そういえば暗闇の雲も巨乳ですね。
波動砲食らいたい人は読んでみよう!
おっぱいはなんだ。
古来、人は絵画や写真、物語に乗せてその問いかけを続けてきた。
数学者や物理学者が、科学的に分析しようとしてきた。
おしりだ、うなじだ、腰のくびれだ、脚だ。対抗しようとしてきた者たちも多くいる。
だが、厳然としてそこにある、おっぱい。
巨乳。
もはやそれに打ち勝つものはないのだ。重力が生み出す優雅で複雑な曲線が描く形状と数値化できない反発係数によってもたらされる手触り。すべての哺乳類が求めるおっぱい。
無敵の主人公が求めるのはそんな無敵のおっぱい。次はどんなおっぱいなのだろう。そして読者である我々は、主人公と共にそのおっぱいを崇拝するのだ。