【バベルの図書館文學賞】試論③~募集ジャンル

 ジャンルはとわない。

 純文學でも大衆文學でもよい。私小説でも実験文學でも、時代小説でもSFでもミステリでも、異世界ファンタジーでもBL小説でもかまわない。なんなら、歌集や句集や詩集や随筆や評論でもかまわない。ノンジャンルの新人賞としては、直木賞作家も芥川賞作家もコンスタントに輩出している文藝賞がイメージに咫尺するかもしれないが、文藝賞は稍〻『文藝賞らしさ』がもとめられすぎる。「クチュクチュバーン」や『メイド・イン・ジャパン』のように先鋭化された作品ならば、文藝賞でも文學界新人賞でも受賞できるかもしれないが、「夏の流れ」が文藝賞を受賞するとか、『インストール』が文學界新人賞を受賞するというイメージは稀薄である。大規模な賞としては、評論も随筆も候補になる三島由紀夫賞や、歌詞や歴史書も授賞対象となるノーベル文學賞もイメージにちかい。が、公募でジャンルをとわない理由のひとつとして、「応募者にもジャンルわけがわからない傑作」や「純文學大衆文學孰れの範疇にもはいらないスリップストリーム文學」などを闇から闇へと葬らないためである。ピンチョンやエリクソンくらいのジャンル横断小説が応募されても、【バベルの図書館文學賞】は擯斥しない。厳密にいうと、「構造上、這般の傑作を見落とす可能性はゼロ」である。ゆえんは、後述する。

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