生活保護について――量子論/フランス革命/MMT
輓近瀏覧した書籍『特殊清掃』のなかで著者が狂癲したように生活保護受給者を非難していて氣氛がわるくなった。
いわく生活保護受給者は労働者たちの税金で生きているのに贅沢な生活をおくっているというのである。
抑抑著者が生活保護受給者でないのは量子力学的に然様なる膜宇宙を観測しているからにすぎない。
愚生はよく『現実とはつまり三次元ディラック方程式なのだ』とおもう。
愚生の記憶が正しければアインシュタインの運動量方程式のベクトル函数にパウリ行列を代入すると一次元ディラック方程式が導出されるがこれではスピン角運動量しか計算できなかったはずなのでさらに一次元ディラック方程式のベクトル函数にガンマ行列を代入すると漸漸量子レベルでのカイラリティの観測確率が計算できる三次元ディラック方程式がみちびきだされる。
『特殊清掃』の著者はこの量子レベルでの観測確率を理解しているとはおもえない。
――一
一七八九年のフランス革命は曩時に出版されたルソーの著作における『一般意志』を実現するために発軔したが結句できあがったのはフランス民主主義でありゆえにナポレオンによる独裁政権が誕生した。
余談だが自転車などにつかわれるチェーンの強度は何処ではかるかといえば『チェーンのもっとも弱いところ』である。
簡単にいえばこのチェーンの強度のはかりかたが一般意志である。
ゆえに腐爛した民主主義とは相違し爛熟した一般意志社会において社会の基準は健康なる労働者ではなくひきこもりやニートや障碍者といった非労働者となる。
――
抑抑なぜ差別主義者たちは生活保護受給者を批判しながら政府官僚を批判しないのか。
毎日求人雑誌と対峙して命懸けでもよいから仕事をさがしている生活保護受給者は『悪人』で国民の税金を搾取してノーパンしゃぶしゃぶでわかい美女たちの陰部を観賞しながらしゃぶしゃぶを喰らっている高級官僚たちは『善人』なのか。
これは畢竟MMTにおける現代貨幣発生理論の問題である。
抑抑ポパーのいう『科學とは間違っていると証明できることである』という有名な反証主義からしてマルクスも包裹し経済学一般を科學とよべるのかはわからない――つまりマルクスは『絶対に正しかった』時点で間違っていたのかもしれない――。
ゆえにマルクスのいうように『貨幣は等価交換のために誕生した』のではなくMMTでいわれるように『貨幣は元来王族や政治家や官僚が労働せずに労働者に労働させて生きてゆくために誕生した』という理論のほうが正しいという――反証主義的――証明は絶対ではないかもしれない。
ならば歴史学はどうか。
MMTにおける現代貨幣発生理論の証拠として近代英国におけるギルドの共同生活における英国政府の徴税の濫觴による貨幣の発生という歴史的記録がのこっている。
これがMMT主義者たちの自説がマルクスより信憑できるという根拠なのだが歴史学もまた反証主義的に科學といえるのか愚生にはわからない。
とにかく『抑抑お金とは等価交換ではなく上級国民が働かずに暮らすために誕生した』というのが最新の経済学の考覈である。
その矛盾を爬羅剔抉せずになぜ生活保護受給者だけが非難されなければならないのか。
――
余談だが愚生は生活保護受給者ではなく工場にてパート形式で働いているものの量子論的にいつ生活保護受給者になるかわからないのは愚生も本書の著者も同様である。
本統に間違っているのは本書の著者かあるいは愚生のほうなのだろうか。
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