僕はずっと、嫉妬し続けている。

 『日曜演劇家』の、あの人もあの人も出てる。あ、これって『熊本くんの本棚』のあの人じゃん……てな具合に、キタハラ作品がクロスオーバーする『キスをしても一人』。

 「ちょっと他作のキャラを出してみたよ」って感じのゲスト出演ではない。(ショーケンは、ゲストっぽかったけど)きっと、著者の中に在る大きな世界から、それぞれの物語を切り出してきているのだと思う。もともとは一つの大きな世界や、大きな物語のうねりなのだろう。
 何が悔しいって、それってワタシがやりたかった事じゃない? 関連性なさそうな作品群なのに、気がつけば一つの物語を形作ってました……って、それ、ワタシやりたかった事ですやん。

 キタハラ作品を読むと、いつもこの手の悔しい思いをする。オカルト織り交ぜて再起の物語を描くって……それ、ワタシがやりたかった事ですやん。しかも、こんなに巧く物語りやがって……ほんと、忌々しい(褒め言葉)
 忌々しさを噛み締めながら読むキタハラ作品は、噛むほどに癖になる味わい。もっとください、キタハラ作品……。

 さて、まるで作品レビューの体を成していない事に気がついたのだけれど……もうキタハラ作品だからという理由だけで、本作をオススメしてしまいます。おそらくそれで、何も問題はないはず……。

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