ブレスオブファイアのこと
ブレスオブファイア 竜の戦士 前編
ブレスオブファイア竜の戦士は、1993年4月3日にカプコンから発売された、スーパーファミコン用のRPGである。
白竜族の末裔である主人公が、主人公の村を滅ぼした黒竜族の野望を阻止するために旅をする、といったシナリオの、オーソドックスなファンタジーRPGだ。
ブレスオブファイアは、この後5まで続編が出た。それなりに人気のあったシリーズで、設定の一部はモンスターハンターに受け継がれていると、僕は勝手に思っている。
最初は、タイトルはブレスオブファイアだけにしようと思ったのだが、Wikiを調べると、いちいちサブタイトルの『竜の戦士』がくっついた表記になっていたので、僕もそれに習った。
――というような感じで、今後はいちおうタイトルの軽い説明を先にしてしまおうと思う。
説明が少ないのは、ここで軽く説明したいような基本的なことで、この後、子供の頃の僕がいちいち驚く、という図式になるためである。
さて、小4の3学期、僕は初めてゲーム雑誌というものがこの世に存在するのだということを知る。
当時は今では考えられないくらい大量のゲーム雑誌が、週刊、隔月間、月間と乱れ出ていたものだった。
その時僕が手に入れたのは、ファミリーコンピュータMagazine、略してファミマガだった。
ファミマガは、名前の通りファミコン/スーパーファミコンのソフトの新作紹介と攻略情報掲載が主たる雑誌で、当時はファミコンとスーファミが大正義状態だったため、もっとも人気のあった雑誌だったのではないだろうか。今はもう廃刊しているが。
その中には、眩暈がするくらい大量のゲームソフトが紹介されていて、世の中にはこんなにもたくさんのゲームがあるのかと、衝撃を覚えたものだった。
とはいっても当時の僕が興味があるのは、ドラゴンクエストで、それ以外のゲームにはほとんど興味がなかった。
が、ファミマガに付録としてついていたポスターが、僕の目を強く惹いた。
ここまで書いておいてなんだが、なぜこのポスターが僕の目を惹いたかを、具体的に書くことは控えておく。
なにかこう、脳みその一部に通っているパイプ的なやつが、グッ! ンッ!! マッ!!!と、音を立てて曲がったのだ。
パイプはアラフォーになった今現在もひしゃげたままで、そして、このエッセイは全年齢向けなのである。
はい。
そのポスターは、数ヵ月後に発売するブレスオブファイアの宣伝するためのもので、登場人物のイラストが大きく描かれていた。
そしてその横に、小さく嵌め込まれていたゲーム画面をひと目みて、強い衝撃を受けた。
そこに嵌っていたゲーム画面は、クオータービューの戦闘画面だった。
クオータービューというのは、斜め見下ろし視点で物が立体的に描かれた画面のことを指す、ゲーム造語のひとつである。
クオータービューを採用しているので有名なゲームは、フロントミッションやタクティクスオウガといったタイトルで、シミュレーションゲームが多い。
ブレスオブファイアでは、戦闘シーンでだけ、このクオータービューを採用していた。
真正面を向いた敵だけが描かれているドラクエ、
敵と味方が横から描かれているFF、
これらの大作RPGとの差別化を図ろうとしていたのだろう。
ブレスオブファイアでは、斜め上から戦闘しているキャラたちがいる箱庭を眺めているような視点で、主人公たちの背中と、主人公たちと向き合って正面が見えている敵が描かれていた。
このクオータービューの戦闘シーンが衝撃的だった。
コレ以前にもクオータービューのゲームはいくつもあったのだが、僕はブレスオブファイアのポスターで見るのが初めてだった。
なんだこのゲーム!!
めちゃくちゃ立体的じゃん!!!
やってみたい!!!
と、一瞬にしてブレスオブファイアが欲しくてたまらなくなった。
そうして僕は、部屋にそのポスターを貼って、ことあるごとに眺め過ごした。
この後、発売が近づくとテレビでブレスオブファイアのCMが流れ、僕はさらに衝撃を受けることになる。
おそらく、発売元のカプコンも、ブレスオブファイアの最大の売りは戦闘シーンだったのだろう。
一瞬ではあるが流れたのは、すべて戦闘シーンだった。
ただでさえ、立体的なドット絵でビジュアル的なインパクトがすさまじかったのに、なんとこの戦闘シーンが、アニメーションしているではないか!!
魔法のエフェクトはもちろん、敵も、味方も、動いているのだ!!!
戦闘シーンで敵が動いているのなんて、ドラクエ4のラスボス、デスピサロが変身するところと、ドラクエ5のミルドラースが仲間を呼ぶところくらいでしか見たことなかったのに、ブレスオブファイアのCMでは、なんか雑魚敵っぽいモンスターでさえ、ただ居るだけでアニメーションしているのである!
魂がブッ飛ぶような、とんでもない衝撃だった。
もうドラクエ5も、友達に「これスゴいんだぞ!」と見せられたFF4も、子供騙しに思えた。
僕は何がなんでも、ブレスオブファイアを手に入れようと、心に誓った。
そして結局1話に収めるなんていうのは、到底無理な話だったので、次回へ続くのである。
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