ファイナルファンタジー6が来る!③

 そんなこんなで、FF6に関する情報は次々にやってきた。

 ただ、悲しいかな小学生の頃の僕は、本当にゲームのビジュアル的な部分にしか興味が持てなかった。

 そういうわけだから、それまでのFFよりもぐっと近代的になった世界観とか、序盤のストーリーとか、キャラクターごとに異なる特徴とか、そういったところには一切興味がわかなかった。

 ただとにかく――


 このロボ的(魔導アーマー)のドット絵やべえな!

 この砂漠の背景やべえな!

 この狼の敵のドット絵やべえな!

 このメカっぽい街並みの背景やべえな!


 と、とことんFF6のビジュアルに興奮しまくった。


 いやね、前回、前々回と、延々FF6のグラフィックに当時のなかいで少年大興奮! という話をしています。自分でも理解しています。

 その話はもう聞いたから。とか言われそうなのを承知の上で、今回も冒頭からこうして再び、うるさいCMソングのサビみたいに、しつこく同じことを書いているのは、とにかくほんとに、FF6のグラフィックは凄かったのだと感動したんだよ、ということを認識してほしいからなのだ。


 せっかくこんな、思い出し日記なんてもので、脳みその内容物をミカンの皮みたいに剥いて見せびらかす遊びをしているのだから、せめて読者の2割……いや4割……もう少し欲張って8割くらいには、

 と、僕の感動と衝撃を理解してもらいたいのだ。

 共感してもらいたいのだ。


 だから僕はここで、何かビシッとした、読者諸兄が思わず舌を巻いて、これは凄いとツイッターやフェイスブックで拡散したくなるくらいに、渾身の的を射つつ洒落の効いた、素晴らしい例えを繰り出そうと、ミスタードーナッツでキーボードをタカタカ打ち、一生懸命に頭をひねって、こうして呪術の詠唱文じみた前置きをくだくだと書いたが、結局何も出てこなかった。


 ※

 だから僕は繰り返すんだ!

 とにかくFF6はすごかったんだ!


 ※繰り返し 

 

 はい。


 さて、前情報として公開された情報は、グラフィック以外まったく興味が無かったとは書いたが、実はひとつだけ、興味を引いたものがあった。

 

 世界地図だ。

 

 FF6は世界崩壊前と、世界崩壊後、という2つのマップがあるが、当然発売前に世界が崩壊するなんて情報は一切だしていなかったから、公開されたのは世界崩壊前のマップである。

 

 ちょっと検索してみてほしい。


 ご覧いただけただろうか。


 頭脳明晰だった小5の僕は、FF6の世界地図を見た瞬間、

「あ、下に北海道がある!!」

 と思った。


 そして、同じくらい頭脳明晰だった僕の友人たちも、口をそろえて

「ほんとだ! 北海道がある!!」

 と言っていた。


 この発見から導き出される答えは、

 FF6は現実の地球を舞台にしたお話なんだ!

 というものである。

 頭脳明晰が何人も集まれば、解けない謎などないのだ。

 

 明らかに北海道がオーストラリアくらいの大きさがあるとか、なんかそういうのは一切問題にされず、FF6は地球が舞台なのだ! ということになった。

 なんとなく、北海道が大きすぎる問題は、実はこのマップの外にもっと広い世界がある『FF3的世界』なのだ、ということで片づけられたような気もするが、これはもっと大人になってから、そういうことにしておけば、一応辻褄はあうよな、と思っただけだったかもしれない。

 そもそも、ドラクエ3も現実の世界地図を模しているが、別に現実の話ではなかっただとか、そういうことはまったく考えも及ばない、周囲に注意を払わない直線的な思考回路である。


 というか、いま改めて世界崩壊前のマップを見ると、そんなに北海道じゃないようにも見えたりするから、冷静になるとか、大人になるとかいうのは、本当に悲しいことだなと思うものだ。


 まあ、そんなこんなで、ファイナルファンタジー6の発売日である、1994年4月2日がやって来るのである。

 

 ファイナルファンタジー6を買おう!

 へ続く。


+++++

 いくらなんでも今回、好き放題に書きすぎて、そろそろ誰も読みにやってこない気配がするが、まあよい。

 でもやっぱりそうなったらとても悲しいから、次回からはもうすこし冷静になって書きます。

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1982年に生まれたらゲームで人生狂った件 なかいでけい @renetra

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