ドラゴンクエスト5はこうなってこうなるらしい!!!
さて、父親の気まぐれによって毎月ガンガンを買って貰えることになった僕は、『100名にドラゴンクエスト5を発売日当日にプレゼントするゾ!』のハガキを出し続けた。
途中から父親に、「抽選ハガキっていうのは、締め切りギリギリに出したほうが、ハガキが上のほうに行くからあたりやすいぞ」とかいう超クッソ激烈にガバガバなアドバイスをされ、忠実に実行したりするが、結局最後まで当たることはなかった。
そうやってポストにお祈りしていた1991年当時、ドラゴンクエスト5はまだ【発売日未定】だった。
その当時の僕は、発売日未定、に対して、待ち遠しいなと思ったことは無かったように思う。
なぜなら、(前回の繰り返しになってしまうが)ガンガン紙面に掲載されていた高精細なスーパーファミコン版ドラゴンクエストは、あまりにも現実離れした存在であり、出るよ! というのと自分がプレイできるというのが、頭の中で結びつかなかったのだ。
ドラゴンクエスト5は、楽しみだけれども、プレイしている事はおろか、手元にあることすら想像できない、遠宇宙をぼんやりと漂う概念的なモノだった。
さて……、ドラゴンクエスト5に関してのことは、ここから記憶が怪しくなってくる。
1991年の間は、ほとんど目新しい情報はなかったように記憶しているのだが、それでも小出し小出しで出してはいたはずだ。
だけれども、今こうして2日間、そもそも『ガンガンの紙面でどのようにドラゴンクエスト5のことが紹介されていたか』を思い出そうとしても、その紙面のページがぼんやりとも浮かんでこないのだ。
ただ、思い出すまでもなく、こびりついているものがある。
『100名にドラゴンクエスト5を発売日当日にプレゼント』の隣にある、グレンデル2匹とベビーニュートの、前後配列の没戦闘画面と――あと、もうひとつ。
後に僕の友達関係を破壊しかけた、『オーシャンキング』のドット絵である。
これが一体、いつのガンガンに掲載されたものだったかは覚えていないが、とにかく、袋とじになっていたドラゴンクエスト5の最新情報の中にあった、新発表のモンスターの中に、奴はいたのだ。
オーシャンキングは大きなクジラのモンスターで、たしか、あの袋とじの中で、オーシャンキングと一緒に載っていたのは、両手を上げて笑っているローブをまとったモンスター『まほうつかい』と、可愛らしいオウムモンスターの『ピッキー』だった――はずだ。
このラインナップの中で、オーシャンキングはダントツでかっこよかった。
他のモンスターに比べて明らかに巨大に描かれ、牙が生え、強そうに笑っている、次世代機のモンスターは、小学校3年生の心を鷲づかみにした。
――はい。
お前は何の話をしているんだ? と、思っている人が多数いることだろう。
そんなモンスター、いねえだろと、皆さんそうおっしゃりたいのだろう。
よくわかります。よくわかる。
うん、そうだね。いないね。いなかった。
そう、そうなのだ。
ドラゴンクエスト5に、こんなモンスターはいないのだ。
だけど、当時、間違いなく雑誌には掲載されたのだ。信じられないのなら調べてほしい。出てくるから。
絶対出てくるから!!
いるんだもん!!
いるんだって!!
みたの!!
ぜったいみた!!
クジラのモンスターなんだって!
ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
――深呼吸。
モンスターが仲間になる、という新システムを見たとき、僕はスライムやドラキーを仲間にすることよりも、オーシャンキングを仲間にしたくてたまらなかった。
グレイトドラゴン(巨大ドラゴンモンスター)とシュプリンガー(ドラゴン騎士モンスター)が公開されて、多少気持ちは揺らぐが、僕のなかでナンバーワン楽しみモンスターはオーシャンキングだった。
オーシャンキングは、そのくらいインパクトが強かったのだ。
だから、あのとき、何の雑誌でもいい。
発売前に、一言、書いておいてほしかった。
たった一行でいい。
オーシャンキングは没になったゾ!
と。
クジラのモンスターはオーストラリアの団体がうるせぇから没にしたゾ!(なかいでの推測です)
と。
そうすれば、あんなことにはならなかったのだ……。
ドラゴンクエスト5が出る!!!!
へ続く。
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