かつてドラゴンクエスト5というゲームが出た

 友人にドラゴンクエスト5のあらゆるマップを1マス1マス歩かせようとした結果、友人に大変辛辣な正論を突き付けられた僕は、その後しばらく、その友人とは口を聞かなかった。

 なんとなく僕のほうが悪い感じがするような気持ちは多少あったが、どちらかというと攻撃されたのは僕っぽい感じだったので、僕は決して謝らなかった。


 まあでも、その友人とは、なんか気がついたらまた普通に遊ぶようになっていた。小学生のころのいざこざは、大体時間が解決してくれるものだったので、この時もきっとそうだったのだろう。

 だからもうこの友人の話はしないこととする。


 そしてやってきたクリスマス、ついに僕はスーパーファミコンと、ドラゴンクエスト5を手に入れた。

 クリスマスの当日、僕は親から現生をポンと渡されて、自転車で10分くらいのところにあるゲーム屋、ブルートへ買いに行った。

 元ブルートだった場所が今現在なにになっているのか書くと、一瞬にして身バレした上に、注文した覚えのない高級寿司とピザが大量に届くことになるので、伏せておく。インターネットは恐ろしいのだ。


 はい。


 こうして我が家のブラウン管に、ついに、ドラゴンクエスト5のロゴが映し出されることになったのである!

 なんという感動的な運命の瞬間か!

 幾多の苦難を乗り越えた少年はついに悲願叶って、勇者の父親である主人公に自分の名前をつける時が来たのである!

 

 はい。


 えっとですね。

 うすうす感づいている人もいると思うので、思い切って言うが、実は僕、自分でドラゴンクエスト5を遊んだときのことを、ほとんど覚えていないのである。


 唯一覚えているのは、友人の隣でぼんやり見ただけで、ほとんど記憶にのこっていなかった――、


 モンスターに農作物を荒らされてる村から、モンスターを倒す依頼を受け、モンスターが潜むダンジョンの奥に行くと、そこには子供のころ一緒に戦ったキラーパンサーがいて、いろいろあって仲間にする。


 ――というイベント。

 このイベントの展開の意味が、僕にはさっぱりわからなかったのだ。


 キラーパンサー(僕は名前をボロンゴにした)を連れて、退治の依頼をしてきた村に戻ると、村人から「なんだ、お前はモンスターとグルだったのか。汚いやつだ」みたいに言われる、ドラクエにつきものの胸糞イベントなのだが、

 これの意味がほんとうに全く分からなかった。(2度目)


 えっ、畑を荒らしていたモンスターはまだ倒してないよ?!

 どういうこと?!

 もうこの話終わりなの?!


 などと思っていた。


 小4の僕には、

 畑を荒らしていたのが、ついさっき仲間にしたばかりの、後ろからついてきている、子供のころ一緒に戦った、ボロンゴだった!

 ――ということが、全く理解できていなかったのだ。

 ボロンゴが洞窟の奥にいたのは全くの偶然で、他に倒すべき畑を荒らしている悪いやつがいると思い込んでいたのだ。

 たぶんイノシシっぽいモンスターがいるに違いない! などと考えたのも覚えている。

 このくらい話がまったく理解できないくらいに愚かであったから、当時はそれ以外の話もほとんど分からなかったように思う。

 

 ただとにかく、ダンジョンなどで強敵に苦戦しながらも命からがら戻ってくる、みたいな部分が、たまらなく面白かった。

 正直、これは今も変わっていない。RPGで難易度設定があれば絶対最大難易度にするし、そしてレベルもギリギリまで上げない、俗に言うマゾプレイヤーが僕である。周囲の友人から何一つ理解が得られず、とても悲しい。

 

 以上が、僕とドラゴンクエスト5の出会い的な話である。

 

 初プレイの時のことを覚えていない、というのは本当で、書くのが面倒くさいわけではないし、そろそろダレるかな、などと思って端折ったわけでもない。

 本当に覚えていないのだから、しかたないのである。


 みんなも老化には気をつけようね!(ドラゴンクエスト5編の教訓)


 次回からはしばらく、1本のゲームを1回の話でサクサク思い出していく形になる。

 たぶんブレスオブファイアのことを書くのではないだろうか。

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