ブレスオブファイア 竜の戦士 後編
そんなわけで、ブレスオブファイア竜の戦士は1993年の4月3日に発売される。
当然、発売日に手に入れるなんてことができないことが分かっている僕は、ほぼ半年後の誕生日に、ブレスオブファイアを買ってもらう決意をした。
(小学生にとって半年が長い系の一般相対性理論っぽい雰囲気の話は既に一度しているので、しないこととする)
さて、ひたすら次の誕生日がやってきて、自分がブレスオブファイアをプレイすることを夢見ながら、僕は日常を過ごした。
その間、友人がブレスオブファイアを買う、ということもなく、ゲーム屋の店頭でデモが流されている、ということもなかったため、僕はかなり長い間、ブレスオブファイアの成分を補給することができなかった。
僕はただじっと、CMの最後に5秒ほど映されていたアニメーションしている戦闘シーンを思い浮かべながら、雑誌に載っているゲーム画面は、どんな風にアニメーションするんだろうか、と、ひたすら妄想をし続けた。
こうして飢えれば飢えるほどに、狂ったように欲しくなるもので、僕の中でのブレスオブファイアを欲する気持ちは、燃えに燃え上がった。
燃え上がりすぎた結果、先に完全攻略本を買ってもらう、という、なんかよくわかんない事をしたりもした。
完全攻略本という名にウソはなく、この攻略本には90%以上のブレスオブファイア情報が記載されていた。
まあ、ドラクエ5でも述べたとおり、当時の僕にはネタバレが嫌だという概念はなかったので、単純に、「わあ! めちゃくそ沢山ブレスオブファイアのゲーム画面がある!!!」と、喜んだものだった。
また、これまでの僕は、RPGはドラゴンクエストしかやったことがなかったため、攻略本の中に書かれた『主人公が戦闘中ドラゴンに変身する』や『仲間同士で強力なキャラに合体する』とか『マップ上で釣りができる』といった、一風変わったシステムに、わくわくしたものだった。
しかし、いくらラスボス付近まで書かれた本であっても、本の中のゲーム画面はアニメーションしなければプレイすることもできないことで知られており、だから欠乏症が完全に治まったわけではなかった。
そうしてやってきた誕生日、僕はついにブレスオブファイアを手に入れた。
ブレスオブファイアは、ドラゴンクエストと同じく主人公はしゃべらないスタイルのため、比較的すんなりとゲーム世界に入り込むことができた。
また、先に攻略本で「このダンジョンの敵は特別強いため、念入りな準備が必要だろう」とか、「このボスは特別強力なので、十分に強くなってから挑もう」みたいな感じでビビらされていたため、攻略本のおかげで逆にドキドキしながらプレイできたりもした。
まあ、そんな細かいことはおいといて、とにかくブレスオブファイアの戦闘画面は動いた。
スライムはうねうねするし、サンドワームはうねうねするし、仲間のキャラクターも攻撃のたびに勢いよく動くし、主人公が変身したドラゴンは動きながら火を吐くし、もうとにかくこれでもか! というくらいにアニメーションしまくった。
また魔法の数が無駄に多く、そしてそれらの魔法1個1個に、ちゃんと個別の派手な魔法エフェクトが用意されていた。(ちなみに、多すぎた魔法は2以降で大幅に削減されることになる)
この、仲間は動くし、敵は動くし、魔法は派手、というビジュアル的なインパクトは本当に圧倒的で、当時「これすごいぞ!」といって見せられた、FF5なんかより、ぜんぜんブレスオブファイアのほうがすごいと思ったものだった。
さらに、プレイしていて驚いたのが、フィールドなどのBGMが、物語の進行に合わせて変化していくことだった。
フィールドのBGMは、中盤と終盤で2度、徐々に悲壮な雰囲気に変化していくのだ。
ぶっちゃけ、フィールドBGMが変わるのは、ドラクエ2も4もそうなのだが、当時の僕のそんなことをすっかり忘れて、「フィールドBGMが変わった!!! すごい!!!」と、驚いていた。
しかし、本当に驚いたのは、物語が折り返しに到達したときのことだ。
なんと、戦闘のBGMまでもが、より勇ましくかっこいいものに変化したのだ。
僕は、勝手にどんなゲームでも雑魚戦のBGMは1曲しか存在できないものだと思っていた。(ドラクエ4の4章のことは、当然忘れている)
そんな思い込みがあったものだから、突如戦闘のBGMが変化したときは、衝撃のあまり母親を呼びにいったものだった。
また、ブレスオブファイアは細かい隠し要素がふんだんにあった。
ブレスオブファイアでは、仲間が増えていくにつれて、地面に穴を掘る、重たいものを動かす、といったアクションができるようになっていく。
そして、それらのアクションによって、一見なにもなさそうな場所に隠された、階段や祠や隠しキャラを発見することができた。
主人公の強力なドラゴン変身能力も、この隠し要素を数々こなしていかなければ手に入らなかった。
完全攻略本にも書いてないような隠し要素も結構な数あり、後日ゲーム雑誌の裏技コーナーで知ったようなものもあった。
いまでは「そんなの分かるわけねーだろ!クソゲーかお前は!」と罵られそうな、マップのある1マスを調べると強い武器がある、とかいうレトロゲーならではの隠し要素もあった。
そういう隠し要素1つ1つが、たまらなく面白く、僕はマップを1マス1マス歩いてまわって、新たな隠し要素はないかと探して回ったものだった。
また、戦闘シーンの背景が多数用意されていて、それらを見て回るのも面白かった。
同じ塔のダンジョンの背景でも、遠景が見下ろした地上だったり、すぐ外の地面だったり、空だったり、といった、小さな違いのある差分が多数あり、いろんな場所で戦闘をして背景を確かめて回ったものだった。
箱庭っぽいクオータービューの背景は、見ているだけで楽しかったのだ。
今考えると、「あ、ここ専用の戦闘背景だ!!」などと一喜一憂している小学5年生というのはかなり不気味だが、実際本当にそういう遊び方をしていたのだから、仕様がない。
――以上がブレスオブファイアの思い出である。
どマイナーではないが、有名でもない、非常に中途半端なタイトルではあるが、僕の中では掛け替えのない衝撃を沢山くれた、とても大切なゲームなのである。
次回は……
まあなんか続く!!!
※前回、ファミマガの正式名称を「ファミコンマガジン」とウルトラうろ覚えで書いていましたが、結城藍人さんから「ファミリーコンピュータMagazine」であることを教えていただきました。ありがとうございます!
ググらずに勢いだけで書いちゃうことがあるので、今後もなにか間違いがあったらすいません!!
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