ドラゴンクエスト派とファイナルファンタジー派のこと

ドラゴンクエスト派とファイナルファンタジー派


!!注意!!

 今回、文章中で、特定の派閥、宗派、星系に対して中指を立てているような表現が用いられますが、これはあくまで、当時の可愛らしい半ズボンを履いて鼻水垂らしながら傘でアバンストラッシュをしていた10歳前後のチビッ子が思っていただけのことで、決して今の僕が思っていることではありませんので、本当にごめんなさい。


 さて、前回から一年戻って小4の当時、僕はファイナルファンタジーなんか

 憎くて憎くてたまらなかった。

 そもそもなんなのだあのゲームは。

 みんな横向いてるし、なんか攻撃するときだけ一歩出て、また戻るし。まるでドッジボールしてるみたいだ。本当に戦う気があるのか。

 敵は敵で、横向いてるやつもいれば、なんか画面のこっち側を見ているみたいな絵のやつもいるし。

 っていうか味方はなんか小人みたいな感じだし。敵で出てくるときは大きいのに、なんで味方になると小さくなるんだ。ドラクエのモシャスを見習ったらどうだ。

 バーカバーカ!

 つまんねーゲーム!


 と、思っていた。


 発端は小4の1学期、クラスメートとドラゴンクエスト4の話をしていたときに、横合いから放たれた、


 「ドラクエ4の気球は遅いし見た目も音楽もカッコ悪いこと甚だしい。しかし、FF4の飛空挺はどうだ。まず早い。そして見た目がカッコいい。おまけに曲が最高にイカすときたもんだ。気球(笑)」


 という一言である。

 僕は当時、転校してきたばかりでほとんど友達がおらず、この一言を放ったヤツに至ってはほとんど口も聞いたことがないような相手だった。


 なんだこいつ。

 と、思うと同時に、僕は一瞬にしてこいつの言った、FF4とかいうゲームが嫌いになった。

 、とかいうのが何かは知らんが、天下のドラクエの気球よりすごいはずが無い、と僕は思った。

 その日から僕はドラゴンクエスト派になり、敵対派閥であるファイナルファンタジー派とは、極力接触を避けるようになった。


 その後、なんやかんやあって実際にFF4を見たのはもう小4も終わりかけの頃だった。その当時はもうFF5が出たあとだったから、FF4は1世代遅れたゲームだ、というのが僕の認識だった。

 そして、前述の出来事によって、FFを受け入れようなんて気持ちが微塵も無かったから、見る端から、「なんだこの変なゲーム」「全員で喋っていて、誰が主人公かも分からない」「どこが凄いんだ」「そもそも古いゲームだし」と、思ったものだった。


 その後、僕は小5で再び転校をする。

 転校先で、僕は同じ社宅に住んでいた、一学年下の男の子と友達になった。

 彼とは親同士が知り合いだったため、引越ししてきてすぐの段階から、遊びに行ったり、遊びに来たり、というような感じで、かなりの高頻度で遊びまくった。


 彼は結構な数のスーパーファミコンソフトを持っていて、とにかくいろんなゲームで遊んだものだった。

 そんなある日、「これスゴいよ」と言って彼が持ってきたのが、ファイナルファンタジー5だった。

 さすがに、ソフトを見た瞬間、手から奪って煮え立つ鍋に放り込むようなことをするほど、僕はドラクエ過激派ではなかったので、

「うん、まあうん。まあ、やれば?」

 みたいな感じで、僕のスーファミにFF5のカセットを挿すことを許した。


 相変わらず、で、違和感があった。

 横向きののも、とても奇妙に思えた。

 縦列に並ぶのも、見ていて恥ずかしくなった。


 でもちょっと、敵モンスターのグラフィックと、魔法のエフェクトは、かっこいい、かもしれないな、と思った。

 ドラクエよりも細かく書き込まれた大きな敵のドット絵と、ビジュアルと音が派手な、メテオやホーリー、フレアといった魔法のエフェクトは、僕の心に結構なインパクトを与えた。


 そうやって何度何度も、友達がFF5をプレイするのを、僕は隣でみた。

 ラスボスのネオエクスデスの破壊できるパーツを、本当に破壊できたかを確かめるために、小さな撃破音を聞き逃さないように、スピーカーに耳をくっつけて、「あ! いまドゥーン、って言ったから、倒せたぞ!」とか、やったりした。


 メテオの効果音ごっことか、フレアの効果音ごっことか、メテオとフレアの合成魔法であるメテアとかいう独自の魔法の効果音ごっことかを、やったりもした。

 召還獣タイタンのポーズごっこもしたし、イフリートのポーズごっこもしたし、ギルガメッシュのポーズごっこもした。

 当時FF5が好きだった子供たちがやったであろうごっこ遊びは、ほとんどやった。


 いつの間にか、僕の中でFFを嫌う心はなくなっていた。


 途中、ブレスオブファイアが出て、まあFF5も結局はたいしたことなかったな、と思ったりもしたが、嫌いだったというわけではなかった。


 そんな僕が、ついにアレと出会う日がやってくる。


 ファイナルファンタジー6が来る!

 へ続く。

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