先輩の過去(パート3)

「アクシス国防事務次官が海外出張...

お前達にしてみれば、“運が悪い”ですね」


コノハ総監は顎を指で擦りながら答えた。


「恐らく、アクシスはライオン国防大臣の就任パーティに参加するはずです。

そこしか、抑えるチャンスはありません」


かばんは総監を見ながら言った。


「仕方ないです。犯人を見過ごすわけにも行きませんし、例の団体が何かされても困ります。あなた達を会場に入れるようにしておきましょう...」


こうして、コノハ総監の働きかけもあり、かばん達は3日後就任パーティに出席することとなった。





そして当日...


「...ったく、なんでウチらが訳の分からん市民団体のリーダーの様子を見なきゃいけないんだが」


隣で愚痴を漏らすヒグマに対し、キンシコウは重いため息を吐いた。


「仕方ないです。総監からの命令ですし」


「ふぁあ〜、辞めたいよな。全く。

あの特指の為に動くなんてさ」


「そういう事言ってると本当に特指課に飛ばされますよ...?」


呆れた目でヒグマを見た。


時刻は午後18時を迎える。

パーティ開始は午後19時からだ。



一方、白千都にある高級ホテル、

『セントラルパークホテル』

そこの大宴会場には様々な政界の著名人が集まっていた。


「凄いですね。トキ総理大臣に

副総理のショウジョウ財務大臣

友民党アルマジロ幹事長まで...」


ワシミミズクがそう耳打ちした。


「それに見合った働きをしたら歓迎できるけどね」


かばんは皮肉の様に言った。


トキ総理大臣は地方出身、

ジャパリパーク改造論を打ち出し

地方創生に力を入れ、都市部への一極集中を解消しようとしているが、実際あまり効果は出ていない気がする。

それに内閣のスキャンダル問題もあり、

不支持が多くなっている。

この内閣も時間の問題だと、ニュースキャスターが言っていた。


「もうすぐパーティが始まりますね…」


かばんは腕時計を見た。

時刻は19時を刺そうとしていた。




「あっ、ヒグマさん!」


隣のヒグマを叩いた。


「ん、どうした?キンシコウ」


「ホシが動きました」


キンシコウはアパートから出る、

ミナミコアリクイを目撃した。


「おし、じゃあやるか...」


ミナミコアリクイは車に乗り込んだ。

それを確認し、二人も尾行を始めた。



パーティ会場ではメディアの記者も

集まってとても空気が張り詰めている。

照明が落とされ、薄暗くなった。

ワシミミズクは、数分前に会場入りした

アクシスを監視していた。

かばんは後方でその様子を見守る。

そして19時ピッタリになるとトキ首相の演説から始まった。


「この度は、前ヘラジカ国防大臣のスキャンダルで国民の皆様を混乱させてしまった事を深くお詫びします。

今後内閣改造を行いまして、国民の皆様の信頼を回復すると共に、質素な政治を目指して行きたいと思っています。

今回はヘラジカの後となるライオン国防大臣の就任パーティにお越しくださいましてありがとうございます。

本人から挨拶を...」


トキが頭を下げて後ろに下がり、ライオンが壇上へ上がった。


「みなさん、お忙しい中お集まり頂き、ありがとうございます。

えー、本日は新しく国防大臣となりました、私の為に会を開いてくれまして、ありがとうございます。この場を借りて、ご挨拶させていただきます。

私はトキ首相の理想を実現する為にも

まずは地方自治体の声を聞きまして、

今ある国防軍の基地を...」


(いつ聞いても政治家の話はつまらないな...)


かばんはそう思いつつ、会場を見回していた。


『かばんさん、聞こえますか?

アクシスの方は今の所何もありません』


耳元のイヤホンにそう声が聞こえた。


「わかりました。引き続きお願いします」


(アクシスを守らないと...)





一方ヒグマ達は車でミナミコアリクイを

尾行していた。


「ミナミコアリクイは一体どこに向かうつもりだ?」


「もしかしたらセントラルパークホテルだと...」


キンシコウはハンドルを握りながらそう言った。


「ホテル...、まさかアイツ...」


「最悪の場合...、テロを起こすかもしれませんね」


キンシコウの予想通り、

ミナミコアリクイはセントラルパークホテルの地下駐車場に入って行った。


「暫く、様子を見ますか?」


「じゃあ、私がアイツを見張ってるから、お前はすぐに本庁に連絡できるようにしとけ」


「わかりました」


ミナミコアリクイが車を降り、ホテルの中へ入っていった後、急いでヒグマは

後を付けた。




一方会場では食事会が行われていた。


(不祥事を起こしたのに、食事とは...

気楽なものです)


ワシミミズクは冷たい眼差しで会食の

様子を眺めていた。


『ミミさん、何かアクシスさんに変わったことは?』


かばんからの無線が入る。


「いえ、特にありません。

バイキング形式なので、毒を盛るとか、そういったことは無いと思います」


そう報告した。


(そうだ...、ここは不特定多数の人物が集まってる...、そもそも、アクシスが犯人だとは関係者以外誰にも言ってないし…)


唐突にかばんの脳内に強い電流の様な感覚が流れた。

そこでハッと気づいたのだ。


「ミミさん、もしかしたら、僕達はもう“手遅れ”かもしれません...」


『えっ?』


「今、僕達は井の中の蛙...

あのグループのメンバーがこのホテル関係者や報道機関にいれば...」


『まさか、“共犯者”を用いて襲うと?

それってテロじゃないですか』


「僕らは襲ってくるとしても、リーダーだけだと、迂闊に考えてました…

僕としたことが...」


『じゃあ、もう既に奴らの思惑通りって事ですか!?』


「僕達はあの人達が用意した特別列車に乗せられたんだ....」


『ヤツらは何をしてくるのですか』


「わからない...けど、不意をついて襲ってくるはずだよ」


そう言った瞬間であった。


唐突に会場内の電気が落ち、停電した。

一斉に会場がざわつき始める。


「やっぱり...!」


『やられましたね...』


その言葉の前に舌打ちする音が聞こえた。


明るくなり、一斉に驚く音が聞こえる。

中心部にはぽっかりと穴が開き、1人の人物を囲い始めた。


「おい...!この中にアラビアオリックスを殺した犯人がいるんだろ!正直に名乗り出ろ!」


その声の主はミナミコアリクイだった。

しかしそれに答える声はない。


「黙ってるなら...、ここで犯人諸共、自爆してやる!」


厚いジャンパーを脱ぎ捨て見せたのは胴体に括りつけた爆弾であった。


「首相だろうが、何だろうが、犯人は絶対に国防省の奴だ。爆弾で死にたくなきゃ、正直に名乗り出ろ!」


首相のボディーガードのうちの一人が前に踏み出そうとした時、バンと拳銃の音がした。


集団になっていた参加者は一斉に振り向く。


「ここにいるお前ら全員人質だ。

下手な動きをすれば全員射殺する」


と低い声で脅した。サングラスをしており、素性はわからない。


「ここのホテルの従業員も我々の仲間だ。もはやこのホテルは我々が支配していると言っても過言じゃない」


かばんはワイヤレスイヤホンを捨てた後民衆を掻き分け、前へ出た。

その様子をワシミミズクも見ていた。


「あの人何をする気で...!」


「こんばんは、ミナミコアリクイさん」


お得意の笑顔で応対する。


「お前は、あの時の...」


「ミナミコアリクイさん、

あなたの目的は犯人に復讐をしたいんですね?」


単刀直入に尋ねた。


「...そうだ」


「じゃあ、僕が犯人を教えますよ。」


一瞬、会場内の空気が凍てついた。


「ただし、条件があります。この場を

犯人と僕、そして僕の部下だけにしてくれませんか?」


奇妙な質問だった。


「あなたの目的は、犯人さえわかればいい。これだけの無駄な人数はいらないですよね」


無言のミナミコアリクイに対して、説得を続けた。


「もちろん、この僕が外から警察を誰一人入れさせませんし、自首するチャンスもあげます」


フゥと、かばんは軽く息を吐いた。


「...あなただって、命は惜しいはずです。それに、余りヒトの死体なんて見たくないはずですよ。僕はあなたの本心をわかってます。あの時だって僕の質問に率直に答えてくれた...」


「わかった...、わかったよ!」


声を荒らげた。


「じゃあ、犯人を連れてこい!

この場所にいるんだろ、そしたら解放してやる」


「わかりました。トキ首相、ライオン国防大臣、あまり見て気持ちの良いものじゃないので、目を閉じててください」


かばんは黒服に囲まれているトキ達の方を見た。


それから、かばんは犯人の元へと歩いて言った。それは、もちろん...


「な、なんだ...?」


「来てください」


腕を掴み、彼女を引っ張り出てきた。


「ミナミコアリクイさん、

アラビアオリックスさんを殺したのはこの人です」


「お、おい!冗談はよせ!人に免罪をかけるなんてお前それでも警官か!」


そう弁明をするアクシス対し、ワシミミズクは


「免罪を作らないのが警察です。

それに...

この人は1度も“犯人を逃して”ません」


そう声を上げた。


「本当なのか」


疑問符無しで、睨むような目をかばんに向けた。


「本当です。条件通りにしてください」


「わかった。外に出ろ」


「ミミさん、誘導を」


「は、はい!」


ワシミミズクは扉を開けた。

ぞろぞろと人々が出る。

ゆっくり落ち着いて出るように呼びかけ続けた。


「うわっ、なんだこの数!?」


廊下にいたのはヒグマだった。


「ヒグマさん、警察呼んでませんよね?」


ワシミミズクはなるべく扉の近くで尋ねた。


「呼んだに決まってるだろ!あんな停電があったんだ!それに自爆テロじゃないか!特殊部隊を呼んだ!」


(余計な事を...)

心の中でそう思ったが口には出さなかった。


「後は特指がやるんで、ヒグマさんは客の誘導をお願いします!」


「は?なんでっ!」


「いいから今はこちらの言う事に従ってください!

この部屋に絶対に入らないでください!」


ヤケクソ気味にそう言った。


会場に、かばんとアクシス、そしてミナミコアリクイと謎の人物だけになると扉を閉めた。内側から鍵を掛けた。


「さ、これで落ち着いて話せますね」


「おい、私が犯人とはどういうことだ!」


未だにアクシスは納得しようとしない。


「アクシスさん、それも含めてお話します。あなたが犯人だという証拠を。

それで...、どうですか、こちらに来ては」


かばんがそう誘ったのはサングラスを掛け、拳銃を持った人物だった。


「僕はわかってますよ。あなたが誰だか」


笑顔を浮かべた。


「こちらへ来てください、元国防大臣のヘラジカさん」


「へ、ヘラジカ!?」


アクシスは驚いた。


「で、ミナミコアリクイさん。

爆弾、取ってもらえます?」


黙々と爆弾を取り外した。

それを受け取ると、ワシミミズクを呼び付け、渡した。


「ミミさん、それ、ホンモノですから、ヒグマさん通じて爆弾処理班渡しといてください。スイッチ式なのでくれぐれも押さないようにと」


「はい...」



「さて、これでゆっくりお話出来ますね。皆さんも落ち着いて、座って話しましょう」


かばんは近くの椅子を引き座った。


アクシス、ミナミコアリクイ、ヘラジカの3人は困惑しつつも椅子に座った。


「拳銃は僕が預かります」


黙ってヘラジカは卓上に銃を置いた。


(脅す為のモデルガンか...)


「さ、まず、アクシスさんがアラビアオリックスさん殺しの犯人であるという理由からお話しましょう...」


「私はやってない...、

アレは“事故”だ」


「まあ、聞いてください。

僕があなたが犯人だと怪しんだのは

あなたが市民団体を監視してほしいと

頼んだ時からです。何故無名のデモを数回だけやっただけの団体に対し、何故そんな警察を呼びつけて監視させる程の

“過剰防衛”が必要だったのかという事です。あなたはアラビアオリックスさんと

ミナミコアリクイさんの繋がりを知ったから。そうですよね?」


「...、そうだ。たしかに、団体との繋がりは知っていた。だが、殺そうとは...」


「次に、あなたは現場に行った時、

ネクタイピンを落としています。

国防省の30年勤続記念のものです。

棚の下にあったので、これはオリックスさんと揉み合いになった際に、落ちたものでしょう。あなたとオリックスさんは揉み合いになった結果、オリックスさんを突き飛ばし、彼女は頭を強く打った。意識が朦朧としている最中に、

本棚から辞書を持ち、顔面を強く殴った。まだ揉み合いになって棚にぶつかったなら事故でしたが、これは完全に

殺人です」


かばんはアクシスを見た

しかし彼女は言い訳もせず、寒さに凍えるように、黙って、体を少し震わせていた。


「凶器が辞書だと判明したのは、

オリックスさんの本棚に不自然な間があったらです。

たぶん、殺害後燃やしたんでしょうね」


「...」


今までやってないと主張してきた、

アクシスは完全に口を閉じた。


「しかしですね、このアラビアオリックスさん殺害の動機、“国防省の機密文書を漏えいさせたこと”だと、思ってました。アクシスさんは事務方のトップ、

ただでさえスキャンダルで国防省は批判を浴びたのに、更に火に油を注ぐ状況になる...。口を封じる為に、オリックスを殺害した...。けど、情報を漏らしたのはオリックスさんでないんですよ」


「どういう事だよ」


ミナミコアリクイがそう尋ねた。


「オリックスさんは、“使われたんです”」


「使われた...だと?」


沈黙していたアクシスも顔を上げた。


「ええ。オリックスさんを用いて、情報を漏らしていた人物...、それは...、

ヘラジカさん、あなたですね?」


「私がオリックスを使って情報を流していた。そんなバカな」


「あなたとオリックスの関係から話しましょうか...。あなたは国防大臣、

オリックスは小隊隊長、つまりあなたの部下に当たる」


「何が言いたい」


「部下を束ねるあなたは、部下の情報を持っていたという事ですよ。

スキャンダルが発覚した時、あなたは咄嗟に火消しをしようとした。しかし、

そう簡単に火は消えない...

代わりに、自分の責任を軽くしようと思い、オリックスのメールアドレスを不正に利用し、情報を流したんですよ。

自身のスキャンダルから目を背けさせようとしてね」


「そんなの証拠が...」


「ミミさん」


「はい」


ワシミミズクはスマホを取り出し見せた。


「これは、オリックスさんのパソコンを解析したものです。

で、ピックアップした物がこれです

あなたのPCがオリックスのPCに不正にアクセスした記録が残ってるんですよね」


「ま、待てよ!それじゃあ、オリックスは...」


「騙されていたんですよ。要は、

自身のスキャンダルを揉み消そうとしたヘラジカさんがアラビアオリックスさんのPCをハッキングして新兵器の情報を横流ししていたが、それをオリックス本人がしたものと勘違いしたアクシスさんがオリックスさんを殺害した...

その犯人を殺害しようとミナミコアリクイさんはこの計画を実行した」


ワシミミズクがかばんの説明に補足した


「ヘラジカさんがミナミコアリクイさんの味方をした理由は、自分の後の座を狙っていたライオンさんが満足する顔を見たくなかったからでしょう。

この騒ぎに便乗して、ライオンさんの足元を揺らしたかった」


「今回の事件は、自分のため、組織のため、仲間のため...3つの“ため”が重なって出来た事件なんですよ。

みなさん...、その“ため”に、一人の人物が犠牲になった。その事を忘れないでください」


「詳しい話は署で聞きます」


その後、アクシスは罪を認め、凶器である辞書は燃やしたと供述。

ヘラジカは、アクセスはしたが情報は漏らしていないと一部否認、

ミナミコアリクイはかばんの計らいで

罪が軽くなった。


元閣僚と事務次官の件でトキ内閣はこの事件から3週間後に総辞職した。




私はこの事件を通じてかばんを見る目が変わった。それは彼女の事件に対する熱意の凄さ、推測力と、トークスキルのレベルの高さに脱帽したからである。


私はこの事件を通じて心を強く揺さぶられた。それ以降、かばんを見る目が変わったのだ。

私は彼女を強く尊敬しまた憧れる様になり、監視役をやめて、彼女をサポートしつつ学ぼうと思ったのである。



話を終えた時、既に日は傾いていた。


アードは完全にその話の世界に飲み込まれていたのだ。


「これが私の一番印象に残った事件です」


「かばん先輩は、昔から、秀才だったんですね」


「ええ、かばんは今も昔も天才なのです...。ところで、アードウルフ、コノハ総監があなたに会いたいと言っていました。会って話してもらいたいのですが...」


総監に呼ばれるとは、どういう事だろう。私はそう思った。


「とりあえず、総監室まで来てください」


そう強く言われたので、しぶしぶ、総監室に向かった。


「失礼します。総監、連れてきました」


「ありがとなのです。ワシミミズク...」


そう礼を述べた。


「あっ...、初めまして。京州署のアードウルフです」


総監と目が合ったので挨拶をした。


「アードウルフ、あなたの話は聞いているのです...」


「あっ、ありがとうございます」


頭を下げた。


「アードウルフ、単刀直入に申し上げたいのですが...

中央署の署員になりませんか?」


その言葉はにわかに信じ難い言葉だった。


「えっ...」


「お前を中央署の捜査一課に加えたいと言っているのです」


「な、何故ですか...?」


「あなたはかばんの知識を持っているからです。一言で言えば優秀な存在なのですよ。私は賢いので、目の付け所が違うのです」


アードウルフは少し悩んだが、

結論はすぐに出せるものだった。


「私は京州がいいです」


ハッキリとそう口にした。


「京州には、仲間がいますから...」


「仲間...、そうですか。

その仲間が、過去に何をしたか、お前は知らないはずなのです。教えましょう。

サーバルは幼女好きで過去に児童ポルノ所持で逮捕されてます。同じくカラカルは高校時代いじめっ子を殴った暴行罪で書類送検されています。

あなたの仲間というのは前科者なのですよ」


「そんなの昔の話です。今は関係ありません。総監といえどこんな会話をするんだった帰らせていただきます」


「...一つ忠告しておくのです。

アード、お前はいつか“つらい”思いを

することになります。

もし、気が変わったら...、連絡するのですよ。私は、お前の才能を高く評価しているのですから。話は以上です。

もし、帰るなら帰るのです」


「・・・失礼します」


ワシミミズクは扉を開け、アードを先に出した。


「だから、言いましたよね。

京州署の奴は“普通じゃない”って…」


ワシミミズクは扉を閉じ、そう呟いた。


「救いの手を差し伸べたんですがね...」


少し残念そうにコノハ総監は言葉を漏らした。





エレベーターを降りると、かばん先輩がいた。

まるで、私が今までしてきた行動を完全に把握されているような気がした。

説得だけで爆弾魔に爆弾を外させるような天才なのだから、もしかしたら、本当に私が今まで何をしてきたか問い正せば、普通に答えるかもしれない。


「アドさん、明日から事件の取り調べを行うみたいです。取り敢えず今日は、

ホテルへ行きましょうか」


笑顔でそう語った。

薄々気付いていたが、

彼女の浮かべる笑顔には、怪しい雰囲気も併せ持っている。


「は、はい」


かばん先輩と私は車へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る