九 ザンネンなイケメン。

「ん……ん!? あ、ごめんでち、寝すぎたでちよ」


 目を覚ましたカリンはガバリ。と、起き上がり、王女に頭を下げました。


「いえ構いません。魔力を使い果たしてお疲れでしたから」


 エリザ王女はカリンにニッコリと微笑みます。自身も明かりの魔法や癒やしの魔法、魔封印の解除等で疲れているというのに、カリンが目覚めるまで起きているとは、なんて健気なのでしょう。


「それじゃ今度はエリザが寝るでち。わたちが見てるでちよ」


「私なら平気です。カリンさんが休んでいる間に、そこそこ回復しましたから」


「しかしそれでは――」


「早い所ミュウさんを探し出して戻りましょう。きっとシルビアさんやお店のマスターも心配しているでしょうから」


 確かにエリザ王女の言う通りに、坑道内に残されて二人の帰りを待つシルビアとお店のマスターの焦りは、とても二人には見せられない程となっています。現在、壁伝いを降りてゆけばと騒ぐシルビアをお店のマスターが背後から羽交い締めにして止めており、密着した見かけより大きなシルビアのお尻が、お店のマスターのマスターを困らせているのです。そして、カリンは思い出していました。この人エリザ王女は言い出したら聞かないタイプだった。と。


「わかったでち。だけど、身体に変調があったら言うでちよ。すぐにでも休憩を取るでちから」


「はい」


 ニッコリと微笑んで返事をするエリザ王女に、カリンの心がキュンっと鳴ったかどうかまでは分かりませんでした。



 魔法の明かりを灯しながら緩い下り坂を下る事しばし、定番の如何にも何かがあるぞ的な広場に辿り着きました。暗く空気が淀んでいるその空間は、エリザ王女の明かりでもほんの手前までしか届かなく、二十ルメト先は闇に包まれています。内部はほんのり温かく、若干何かの匂いが鼻につきます。その匂いを例えるなら、お爺ちゃんの口臭の様な香りでした。


「先が全然見えませんね」


「これ、ただの闇じゃ無いでちね」


『何者だ』


 突然、カリン達の頭の中に声が届きました。


「頭の中に声が?!」


「誰でちか!?」


 ミュウの時と同じ感覚でしたのでカリンは只者ではないと身構えましたが、エリザ王女は初めての体験で、頭の中に響くゆらゆらと揺らめく声の、乗り物酔いに似た感覚に戸惑っていました。


『我が問に、問で以って返すとは不届き者め。礼儀知らずのお前達には死をくれてやろう』


 カリン達の目の前の闇に、ビカッ! っと、赤い輝きが二つ光ると、そのまま上空へと昇ってゆきました。カリン達を見下ろすその光をエリザ王女は目で追いますが、カリンは別な場所を見ていました。


「あ、ミュウ」


「え?!」


 カリンの指差す方向にエリザ王女が視線を向けると、地面でひっくり返っているミュウが、大量のスライムにたかられている状態で発見されました。


「ミュウさん!」


 エリザ王女の叫びでミュウは寝返りを打ちました。その際、ミュウの下敷きになったスライムが大量に昇天してゆきます。その音は梱包材の『ぷちぷち』と酷似していました。


「……ぁ」


 こうして、エリザ王女の所為で絶滅危惧種のスライムが大量にお亡くなりになる事件が勃発してしまったのです。


『む? お前達、この者を知っておるのか?』


 ですが、頭の中に声を発しているナニカは気にせず話を続けます。


「ミュウさんは、このカリンさんと契約を交わしたのですわ」


『ホウ』


 カリンの言葉に赤い輝きが横に細まります。どうやら赤い輝きは、何者かの目であったようです。


『ならばその証拠を見せてみろ』


「証拠……ですか?」


 二人は顔を見合わせます。証拠。と、言われても、今まではミュウの証言のみでした。なので、ミュウが起きてくれない限り何一つ証明する事が出来ません。二人は揃って腕を組んで頭を傾げます。


『何をしている。早く見せろ』


「そう言われても、ミュウが起きないと証明出来ないでち」


『お前達、本当に契約を交わしたのか? 契約をすれば身体の何処かに紋様が刻まれる。全裸になって確かめてみるが良い』


 何故全裸になる必要があるのかは謎ですが、カリンはその紋様とやらを探すべく上着に手をかけた直後でした。


『違う! お前ではない! 隣のその娘だ!』


「「……は?」」


 目を点にしながら二人は素っ頓狂な声を上げました。


「……え? わたくしですか?!」


『そうだ。お前だ。早く脱げ』


「ミュウと契約しているのはわたちでちよ」


『そんなのは見てみないと分からぬではないか。さぁ、早く脱いで我に紋様を見せるのだ!』


「「ふーん」」


 今度は二人の目がスッと細くなります。


「紋様ってウソではありませんの?」


『ギクッ』


「ただ裸が見たいだけでちね」


『ギクギクッ』


 ナニカの反応からみて、ナイスバディなエリザ王女の身体が目的なのは明らかです。得体の知れないおどろおどろしい何者かが、急に小物に見えてきた二人でした。


『ええぃ! 見せられぬのなら死ね!』


「「そんな理不尽なっ!」」


「オオオオッ!」


 黒いナニカの叫びの様な声と共に、赤く輝く目の少し下にオレンジに輝く球体が生まれます。


「! あれは獄炎殺フレア?!」


 エリザ王女の言葉に赤い目がスッと細くなりました。


『ホウ。この技を知っているのか。ならばその威力も知っていよう……』


「クッ! なんて圧力なの!?」


「こんな狭い所じゃ逃げられないでち!」


『クックック。そうだ、逃げ場は無いぞ。死ねぇばふぉっ!』


 カリン達に向けられていたオレンジ色の球体は、珍妙な声と共に上空に向かって飛んでゆきました。唖然とそれを見送った二人は、一体何があったのか? と、その原因を確かめます。と、ズズン。と、いう地響きと共に、先程の『ぷちぷち』音が二人の耳に届きました。どうやら、寝返りを打ったミュウの尻尾が、黒いナニカの下顎をクリーンヒットしたようでした。そして、そのナニカはそのまま仰向けに倒れます。ちなみに上空へ飛んでいった球体は、そのまま山の噴火口から宇宙へと飛び立っていきました。それを見た人達が触れ回り、大騒ぎに発展した事は割愛します。


「助かった……のですか?」


「ミュウの尻尾に助けられたみたいでちね」


「はー……、取り敢えずは安心ですわね。この隙にミュウさんを起こしましょう」


「そうでちね」


「ミュウさん! 起きて下さい!」


『んー……五月蝿ぃぃ』


 一難去ってまた一難。上空から降ってきたナニカが王女の左右に落ちて土煙を上げます。それはドラゴンミュウの手の平。その指の間にエリザ王女は立っていました。


「…………ひ」


 弱々しい声を出しながら腰を抜かしたエリザ王女。地面に下半身から流れ出たナニカのシミが広がってゆきます。危うく『ぷちぷち』と同じ音が鳴る所でしたから、そんなのを出してしまうのも無理はありません。


「ハー……全く、仕方ないでちね。ミュウ。起きるでち。ミュウ!」


 エリザ王女が付けたシミを巧みに躱して、カリンはミュウの手をペチペチと叩きます。その際、手の平を伝ってカリンに流れ込んでくるナニカがありました。


「ん? 魔力が戻ってきてるでちか?」


 それならば。と、カリンはミュウの鱗で覆われた大っきな手に、手の平を当てながら佇みます。側から見ているエリザ王女は、何をしているのか? と、不思議そうな顔でカリンを見つめていました。


「…………ぁんっ」


 寝ているミュウの口から、エロっぽい声が漏れます。ですがカリンは、そんなのには構わずに、ミュウに吸い取られた魔力をシュゴゴゴゴ。と、吸い取り返していました。


「ぁ……ぁぁっ! んんんっ! ハッ! え、あ。ま、ご主人様マスター?」


「ミュウ。あたちから奪った魔力、返ちて貰うでちよ」


「え? あ、あの……多くありません?」


 ふふふ。と、言いながらニヤリと口角を吊り上げたカリンは、悪役の顔をしていました。


「多いですって! あ、そんな……そんなイッパイ吸われたら、私どうにかなっちゃいますよぉぉぉ!」


 ミュウの歓喜とも思える叫びの直後、ボフン! と煙が辺りを覆い隠しました。煙が晴れると、親指を咥えながらシャナリ。と座り込んだミュウがソコに居たのです。


ご主人様マスターってば、強引……な、ん、だ、か、ら」


「良いから服を着るでち」


 冷ややかな目でミュウを見下ろしながらカリンは言います。龍用の服というのはこの世には存在しませんので、龍化すると基本まっぱです。ですので、着ていた服は何処かに隠し持っているのですが、何処にあるのかまでは教えてくれません。そしてミュウは、何処からともなく取り出した服を着始めました。


ご主人様マスターご無事で何よりでした」


「ミュウのお陰でちよ。咄嗟に張ってくれた風の守りで五体満足で居られたでち」


 でなければ、地底湖の魚の餌かスライムの餌となっていた事でしょう。


「そうですわ。ミュウさんのお陰で助かりましたわ」


「フン。エロザはついでだ。お前が死ぬとご主人様マスターが悲しむのでな」


「ちょ、エロって言わないで頂けます?!」


「エロイヤツをエロと言って何が悪い。全く、股間をそんなに濡らして誰を誘うつもりだったんだ?」


「股間を濡らし……き、きゃあ!」


 エリザ王女は股間を隠して地面に座り込みます。ミュウとの再会に感極まって、失禁していた事を忘れていたのでした。


「これはミュウさんがわたくしを潰そうとしたのが悪いのですよ?!」


「そんな事よりご主人様マスター。ここは一体何処ですか?」


 エリザ王女の訴えをミュウは無視して、ミュウは王女に背を向けて聞きました。


「ちょ、聞いてます!?」


「どうやら、龍のねぐらのようでち」


 カリンが指差す方向を見ると、黒いナニカが横たわっているのが見えました。


「……ん? あれ? 黒龍?」


「知っているのでちか?」


「ええ。アイツは黒龍です。だけど、もっと南に居た筈なんですよ」


 ミュウはツカツカツカ。と、歩み寄り、黒龍の黒く染まる腕を蹴飛ばしました。


「おい! 起きろ! 黒龍! おい!」


 ミュウの一言毎に、ゴガッ。とかゴスッ。とかの音がカリン達の耳に届きます。


『ん? んー……む? 私は一体……』


「ようやく起きたか」


『ハッ、そうだ! おいそこの娘、早く脱いで紋様を見せろ!』


「相変わらずだなお前は」


『むむむ? おおっ』


 黒龍の驚いた声の直後、ぼっふーん。と辺りを煙が包み込みました。煙が晴れると、ミュウに跪いてその手に口づけをしている男が居ました。その男は、白シャツに黒い上着とズボンを着ていて、さながら執事バトラーの様相でした。そして、どうやらこのぼっふーん。は、龍が人化する場合に発生するようです。


「素敵なお嬢さん。このボクと、ちちくり合いませんか?」


 この男は、爽やかな笑顔でトンでもない事を口にしたのです。その際カリン達は、男の歯がキラリと光ったような錯覚を覚えました。


「そちらのお嬢さんも如何ですか? 僕達とさんぴぶふぉっ!」


 ミュウからの打撃が男の後頭部にクリーンヒットしました。


「全く……相も変わらず見境なしか黒龍」


「ん? んんっ?」


 黒龍と呼ばれたその男は、ポケットに手を突っ込んで弄りナニカを取り出して左目に着けます。それは円形の片眼鏡モノクル。ただし、牛乳瓶の底の様なレンズが付いた片眼鏡モノクルだったのです。見境が無いのではなく、ただ見えないだけでした。


「なんだ、黄龍ではないですか……そうだ! 久々に会った事ですし、また一発どうですカハッ!」


 その一発が黒龍の顎にクリティカルヒットしました。そしてカリンとエリザ王女は、『また』という男の発言に、あ、やっちゃったんだ。と、そんな目をミュウに向けていました。


「ちちち、違いますからねご主人様マスター! あれはその……成り行きというかその……酔った勢いで……」


「何に酔ったんでちか。自分にでちか?」


「違います! ってか自分に酔ってシちゃうってどんなヤツですか!?」


「まあ、龍同士の営みに口を出す事はしないでちが、その気が無いならちゃんと避妊はするでちよ」


「だからぁ、違うんですって!」


ご主人様マスターですと? では矢張り、あなたが黄龍と契約したヒトなんですね」


 黒龍はずずぃっとカリンに歩み寄り、牛乳瓶の底レンズを付けた片眼鏡モノクルを掛け直してカリンの顔を見つめます。ただし、その距離は十センチルメトでした。そして、今迄遠目から見ていたから分からなかったのですが、男はかなりのイケメンでした。だけど、言動と行動を鑑みるに、ザンネンなイケメンと言わざるを得ないでしょう。


「近い近い」


「ふむふむ。なるほど。ほほう……。! この数値はっ!?」


「数値?」


「その眼鏡は、なんか色々な事が数値化されるらしいのですよ。私も見た事が無いのでどんなのかは分かりませんが」


 どうやら男が付けている片眼鏡モノクルは、某大人気漫画のあの装置と同じ様に数値として見える様です。


「んで、黒龍。遥か南に棲んでいた筈のお前が、どうしてこんな所に居るんだ?」


「ほほう。へぇ……ん? ああ、何の事はありません。前の住処にも飽きましたから引っ越しをしようと思いましてね。寝心地はどうかと横になっていたら……」


「寝てしまったと」


「そういう事です。まあ、表が騒がしくて目を覚ましてしまいましたが」


 騒いでいる人達お隣さんに文句を言おうと出て行った所、ミュウが焦げて落ちているのを見付けて中に運んだのだそうです。あの巨体を一体どうやって中に運んだのか? と、エリザ王女は不思議でなりませんでした。


「それで、引っ越しは終わってるのでちか?」


「いやいや。これからですよ。荷物もまだですし……」


「「「……え?」」」


 カリンとミュウ、エリザ王女の唖然とした声が、ものの見事にハモりました。


「……え? では、龍の目ドラゴンズ・アイは……」


「ええ、前の住処にありますよ可憐なお嬢さん。そうだ! 引っ越し祝にどうですか? ボクの新居でファイトいっぱぁつ「こぉんのバカ!」ぶふぉっ!」


 ミュウの見事な一発が、黒龍の顔面に食い込みました。


「何をするのですか黄龍! ボクMじゃないですよ! Nですよノーマル!」


 そんな情報はどうでも良いです。


「古龍帝様から龍の眼を護れと言われているだろうが! 携帯せずに離れてどうするんだ!」


「まあ、約二名護れて無かったでちが」


「うっ!」


 カリンの横槍にミュウの動きが止まり、汗をダラダラと流します。


「大丈夫ですよ。あそこは魔封印で閉ざされていますから」


 防犯体制は完璧だと黒龍はふんぞり返って言いました。


「……私のは盗られた」


「……は?」


わたくし、魔封印を解除出来ましてよ」


「……へ?」


「ミュウとセーラ、そして恐らく赤龍のも盗られたと思われるでち。あたち達は、青龍の元に龍の眼ドラゴンズ・アイが無事な事を確かめに行く途中だったのでちよ」


「……え? じ、じゃあ、魔封印を施していても安全じゃない?」


 一同は黒龍に向かってコクリ。と、頷きました。


「ふぉぉぉぉっ!」


 黒龍は、レザーを着込んだ芸風のどこぞの芸人さんの様な声を張り上げました。


「ボクどうしたらいい? どうしたら良いの? ね、黄龍ぅ。教えてよどうしたら良い?」


 黒龍の慌てっぷりは常軌を逸していました。まるで子供の様にミュウに言い寄るさまはイケメンなのにザンネン仕様です。


「一緒に怒られよう」


 黒龍の肩にポンッ。と、手を置き、ミュウは爽やかな笑顔でサムズアップします。


「嫌だぁぁぁ! 絶対ボコられるぅぅぅ!」


「「帰ったら良いじゃないでちか」ですか」


 頭を抱えて踞っていた黒龍は、カリンとエリザ王女の言葉にハッと顔を上げました。


「それだ!」


 黒龍はビシッと指差しますが、差した方向はエリザ王女の方でした。


「いやぁ、良い案を出してくれて有難う御座います。お礼に快楽の園へいざなっ……ぺくっ」


 ミュウは黒龍の背後にシュッと素早く近付き、首に腕を回して締めてあげました。


「ナンパしている場合じゃないだろ。とっとと帰れ!」


「ぉうりゅー、じばっでるじばっでる」


 パンパン。とミュウの腕をタップする黒龍ですが、中々外してくれません。ミュウは黒龍が堕ちる一歩手前で開放してあげました。顔の穴から汁を垂れ流すさまは、イケメンなのにザンネンでした。


「ゼパー、ゼパー。お前はボクを殺す気なんですか?! ……だけど、でっかくなりましたね」


 黒龍は爽やかな笑顔でサムズアップします。彼のいう所の「でっかくなった」とは、締め上げている最中に背中に当たっていたミュウの立派な乳の事で、あの状態でミュウのホルスタイン級を堪能するとは実に見上げた根性です。


「いーからはよ帰れ」


「では、一緒に行きましょう」


「「「……は?」」」


「何をそんなに驚いているのです? 私のねぐらにご案内します。と、言っているのですが」


「何でわたち達が行かないとならないのでち?」


 カリンの言葉に、ミュウとエリザ王女は頷きます。


「そうだぞ黒龍。私達は忙しいのだ。これから青龍に会い、龍の眼ドラゴンズ・アイの無事を確認しなければならないのだ。魔王崇拝の奴等よりも先行して奴等を迎え撃つ準備をするのだからな」


「魔王崇拝?! まさかそんな奴等が暗躍していたとは……。ならば尚の事、来て頂かなくてはなりませんね」


「何故なのです? ……うっ!」


 黒龍に問い掛けたエリザ王女は、その身を一歩引きました。なぜならば。


「だっで、ごわいじゃないでずが」


 恐怖で顔の穴から水を垂れ流すイケメンがソコに居たからです。


「龍のクセに人を怖がってどうする!」


 ミュウの叱咤に、黒龍は子供の様にだってを繰り返します。そんな黒龍を見てカリンとエリザ王女は、どうしてこんな奴に頼んだのだろう? と内心首を傾けていましたが、実はジャンケンで負けたからだとはミュウですらも知りませんでした。


「どうします? ご主人様マスター


 泣きながら抱き着いてくる黒龍を小突きながら、ミュウはカリンに言いました。カリンは顎に指の腹をくっ付けて考え込みます。普通に考えれば、ここから一番近い青龍の元へ行き龍の眼ドラゴンズ・アイの無事を確認してから黒龍の棲家へ行きたい所ですが、彼の地は龍不在のもぬけの殻。空き巣に入るには最良の条件といえるでしょう。しかも相手は、魔封印を解除ピッキングが出来る魔王崇拝者。ならば、とカリンは口を開きます。


「行くでち」


 カリンの意向に黒龍の表情がパァァ。と、明るくなりました。ミュウはやれやれ。と、ため息を吐きます。こうして一行は、黒龍の駄々の所為で彼の地へ赴く事になってしまったのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る