マーヤの物語

特定の理由があるわけではないけれど、うつろだ。
最近まで実体があって、急にぽっかり空いた穴ではない。毎日の単調な生活の中で、気がついたら、心の大部分を大きな穴が占めていた。
笑顔に詰める呼気もない。声に潤いもない。かといって病気でもない。
人に話せば「何甘えてるんだ」ときっと一笑に付される。
そもそも空虚で実体がないので、人に話せるような内容もない。
ただ、その穴に不純物を流し込んでいるわけではないので、濁りはない。
そんなあなたがこの物語を読んで、ほんの少しだけ、笑顔になってくれたらいいな。