概要
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人類圏の東端に位置する灰の街。
そこでは昼夜問わず灰が降り注ぎ、人々の生活を脅かしている。
そんな街を行くレインコートを着た二つの影があった。
一人は男、もう一人は異形の少女だ。
この物語は、そんな二人が街中のSFグルメを食い尽くすお話である。
(――というのは実は嘘で、実際は薄暗い殺伐とした世界でエージェントとして生きる二人が、ごはんを絡めて信頼を深め、一人前のバディとなるお話です)
一話完結。短編集です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!仄暗い世界観とグルメのコラボレーション
読み始めて感じるのは読者の胃袋を刺激する美味しそうな描写。
まるで目の前で二人が食べているような感覚になり、読者の食欲がそそられます。
ストーリーは仄暗く、丁寧な描写が絶望感をより増幅させています。
キャラクターにはそれぞれ個性があり、読みやすい。
なのに、文章が丁寧かつ重厚でしっかりと世界観に入り込める、素晴らしい作品です。
何度も、何度も読み返すお気に入り作品です。
書籍化されましたので、書籍の方もぜひ皆さん読んでみてはいかがでしょうか。
ライト文芸は思えないほど分厚く、手に取った方は驚かれるかと思います(笑)。
色々と加筆修正されているので、新規の方もカクヨムで読んでいた方も楽しめる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!食事シーンがおいしそうに感じる作品は間違いなく良作
常に灰が降る街で、ドラッグ「ヒミコ」を使用し怪物化したモノを取り締まる特務捜査官と、ネコと呼ばれる少女のバディもの。
初めはぎこちない彼らが捜査と日常を通じて本物の絆で結ばれていく。
彼らを結びつけるもののなかで特に大きな役割を果たしているのは、おいしそうな食べ物だ。
食事シーンは間違いなく読者の胃袋を刺激する。
そして、食事シーンの素晴らしい作品に、外れはない。
第一部は完結したが、まだまだ謎が残ったまま。
これからトシヤとミィをはじめとする登場人物達がどんな事件に挑み、どう解決していくのか、とても楽しみだ。 - ★★★ Excellent!!!美味しいごはんと、近未来SFバディアクションのフルコース
SFでグルメネタ!?新しい!
と、タイトルとあらすじに惹かれて読み進めるうちに、一見相反する要素がきっちりと組み合わさって独自の雰囲気を醸し出しているのに魅了されてしまった。
灰降る近未来都市に謎の病という心踊るSF要素。
人外の少女と特務捜査官の男のバディアクションという萌え&燃え要素。
そして絶妙に差し込まれる、これでもか!と食欲をそそる飯テロ要素。
第一部は完結したが、まだまだ謎は残っている。この謎が今後どのように料理されていくのか、ミィやトシヤを始めとした魅力的な登場人物達の行く末はどうなるのか、最後まできっちり完食したい。 - ★★★ Excellent!!!人外少女と特務捜査官のバディが、胃袋と感情を掴みにくるぞ!
灰が常に降り注ぐ、ある未来の街。
その街で、「ヒミコ」というドラッグ使用者を取り締まるための特務捜査官・トシヤと、その相棒である見た目は少女の「ネコ」であるミィ。
二人の心温まる交流を描きながら、その一方で、彼らはシビアな任務に直面していく。
彼らの対峙する現実がシビアであればあるほど、ちょくちょく差し込まれる食事シーンの『飯テロ』がまた、美味しそうなだけでなくほっと心を和ませてくれるのだ。それは何も高価なものばかりではない。ラーメンだったり、蕎麦だったり、クッキーだったり。でも、それら何でもない食べ物が、こんなにも美味しそうなものだったのかと気づかせてくれるのもまた、本作の魅力だろう。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!灰降る世界での飯テロに、ワクワクが止まらない!(いろんな意味で……)
『空腹感を煽り、食欲をかき立てる』――それが飯テロ。
しかしこの物語の飯テロという単語は、ダブルミーニング!
『飯テロ』であり『飯×テロ』でもあるのです!!
冒頭から、美味しそうな食事をこれまた美味しそうに口にする少女の描写に、激しく胃が刺激され『これは良い飯テロ』などとニヤついていた私でしたが…………第一話ラストに待ち受ける衝撃の展開に、胃だけでなく心まで持って行かれました!!
特務捜査官・トシヤとその相棒『ネコ』なる存在・ミィ。
二人が担当する事件は一筋縄ではいかないものばかりで、時に胸抉られるような悲しい結末に見舞われることもあります。
そんな中、ゆっくりと、しかし確かな絆を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!看板に偽りなし!
確かにSFであり、確かに『わくわくグルメ』です。
毎回登場する食べ物、食事のシーンの描写が丁寧で濃厚で、飯テロ小説としての側面もある。
けれどポップなタイトルと読みやすく分かりやすい文体にどんどん引き込まれていくうちに、いつの間にか目の前に突きつけられた刃にハッとさせられる。
その時にはもう、戻れないくらい掴まれてしまっていることでしょう。
生きること、食べること。
主人公であるトシヤとミィを通して、私たちが日頃当たり前に感じているこれらのことを改めて考えさせてくれる作品です。
月並みな言い方ですが、笑いあり涙ありのエンターテインメント、読んできっと損はさせません。
SFとあまり接点がない…続きを読む