灰の街の食道楽 〜SF世界のわくわくグルメ〜

作者 黄鱗きいろ

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★★★ Excellent!!!

 常に灰が降る街で、ドラッグ「ヒミコ」を使用し怪物化したモノを取り締まる特務捜査官と、ネコと呼ばれる少女のバディもの。
 初めはぎこちない彼らが捜査と日常を通じて本物の絆で結ばれていく。

 彼らを結びつけるもののなかで特に大きな役割を果たしているのは、おいしそうな食べ物だ。
 食事シーンは間違いなく読者の胃袋を刺激する。
 そして、食事シーンの素晴らしい作品に、外れはない。

 第一部は完結したが、まだまだ謎が残ったまま。
 これからトシヤとミィをはじめとする登場人物達がどんな事件に挑み、どう解決していくのか、とても楽しみだ。

★★★ Excellent!!!

SFでグルメネタ!?新しい!
と、タイトルとあらすじに惹かれて読み進めるうちに、一見相反する要素がきっちりと組み合わさって独自の雰囲気を醸し出しているのに魅了されてしまった。

灰降る近未来都市に謎の病という心踊るSF要素。
人外の少女と特務捜査官の男のバディアクションという萌え&燃え要素。
そして絶妙に差し込まれる、これでもか!と食欲をそそる飯テロ要素。

第一部は完結したが、まだまだ謎は残っている。この謎が今後どのように料理されていくのか、ミィやトシヤを始めとした魅力的な登場人物達の行く末はどうなるのか、最後まできっちり完食したい。

★★★ Excellent!!!

灰が常に降り注ぐ、ある未来の街。

その街で、「ヒミコ」というドラッグ使用者を取り締まるための特務捜査官・トシヤと、その相棒である見た目は少女の「ネコ」であるミィ。

二人の心温まる交流を描きながら、その一方で、彼らはシビアな任務に直面していく。
彼らの対峙する現実がシビアであればあるほど、ちょくちょく差し込まれる食事シーンの『飯テロ』がまた、美味しそうなだけでなくほっと心を和ませてくれるのだ。それは何も高価なものばかりではない。ラーメンだったり、蕎麦だったり、クッキーだったり。でも、それら何でもない食べ物が、こんなにも美味しそうなものだったのかと気づかせてくれるのもまた、本作の魅力だろう。

そして、主役であるトシヤとミィだけでなく、彼らを取り巻く他の「ネコ」たち、捜査官たちもそれぞれに色々なものや考えや過去を抱え、それでも現実を立ち向かう姿がまた心引かれる。それは、彼らが互いを強く思い合ってる様子が、行動の端々から感じられるからかもしれない。

読み終わった後、きっと貴方は、大切な人と美味しいモノを食べに行きたくなるはず。

★★★ Excellent!!!

『空腹感を煽り、食欲をかき立てる』――それが飯テロ。

しかしこの物語の飯テロという単語は、ダブルミーニング!

『飯テロ』であり『飯×テロ』でもあるのです!!

冒頭から、美味しそうな食事をこれまた美味しそうに口にする少女の描写に、激しく胃が刺激され『これは良い飯テロ』などとニヤついていた私でしたが…………第一話ラストに待ち受ける衝撃の展開に、胃だけでなく心まで持って行かれました!!

特務捜査官・トシヤとその相棒『ネコ』なる存在・ミィ。
二人が担当する事件は一筋縄ではいかないものばかりで、時に胸抉られるような悲しい結末に見舞われることもあります。

そんな中、ゆっくりと、しかし確かな絆を深めていく二人の姿はコミカルでありながら穏やかで温かく、過酷な状況であるからこそ、その優しさが際立ちます。

また、彼らを取り巻く個性溢れる仲間達も魅力的で、この灰色の世界に輝きの彩りを添えてくれます。

お腹が空くだけでなく、続きを読みたいと心までが叫ぶ、まさに飯テロ心テロな作品です。

★★★ Excellent!!!

灰に覆われた謎めいた街でグルメを堪能するミィとトシヤの凸凹コンビのお話。ミィもトシヤもイナちゃんも5番殿も、とにか出てくるキャラが皆可愛くて愛着がわきます。それだけに待ち受ける様々な展開や容赦のない世界観にドキドキしてしまいました。ほのぼのと同時に展開される殺伐とした世界観と徐々に明かされていく謎、そして飯テロ。短編連作っぽくなっているので気軽に読めますのでオススメです。

★★★ Excellent!!!

最終戦争後の食事情と灰の降る街に隠された暗い秘密に迫る、近未来飯テロSFという新しいジャンル。
化学メシなのに食べてみたくなる食材と、今や高級となった天然食材が融合した料理描写が恐ろしく胃袋に突き刺さる。
特務捜査官のトシヤと相棒の『ネコ』ミィが、街の秩序を護る為に暗躍しながら、時に美味しく、時にほろ苦く、グルメな日々は続いていく……。

★★★ Excellent!!!

確かにSFであり、確かに『わくわくグルメ』です。
毎回登場する食べ物、食事のシーンの描写が丁寧で濃厚で、飯テロ小説としての側面もある。
けれどポップなタイトルと読みやすく分かりやすい文体にどんどん引き込まれていくうちに、いつの間にか目の前に突きつけられた刃にハッとさせられる。
その時にはもう、戻れないくらい掴まれてしまっていることでしょう。

生きること、食べること。
主人公であるトシヤとミィを通して、私たちが日頃当たり前に感じているこれらのことを改めて考えさせてくれる作品です。
月並みな言い方ですが、笑いあり涙ありのエンターテインメント、読んできっと損はさせません。
SFとあまり接点がない?グルメものには興味がない?
そんな勿体ないこと言わずに、さぁ、灰の街に降り立ってみませんか?

★★★ Excellent!!!

本作は、濃厚でヨダレじゅるりなグルメ小説である。各章ごとにココロ踊る食への出会いがあり、それを取り巻くひとがいる。

そう、まさに、わくわくの名に相応しく――ない!


グルメ小説という部分は、あくまでテーブルの上に乗っかった部分。
本質は、その下準備にある。屠殺をするように、不要な人間が殺される。灰の降る色彩の死んだ街に、今日もトシヤとミィの足音が響く。

彼らは、エージェント。謎の粉ヒミコの服用により人を超える異形の怪物になったものたちを殲滅せんと戦う、歴戦の勇士だ。
特務捜査官のトシヤと、怪物を討つための生体兵器ミィ。彼らは今日も、仄暗い想いを抱きつつも怪物を討つ。

周りには、ミィの仲間、17番ちゃんや5番さんたちもいて、バディだけではない魅力的な人物に溢れている。
それは、怪物と化してしまうものたちも同様で、彼らも魅力溢れる人間として描かれて――変容する。


灰の街には真の幸せは来ないのだろうか。しかし、その中で。
彩りがなくなりつつある街の中で、ただふたりが食べるご飯だけは――、鮮やかであって欲しい。


今日も灰の街に、ヒミコと銃声、怪物の咆哮がこだまする――!
魅力たっぷり、おなかぺこぺこの異色グルメSF小説!

★★★ Excellent!!!

濃い味を、深みのある物語を食べたいのであれば、この作品をお勧めします。
一つの物語に、必ず一品、食べものが出てきます。
その食べものには、その日を生きた彼らの証があります。記憶があります。思い出があります。
この物語は、食べものの「あい」でできていると言っても過言ではないでしょう。

食べものを食べたことが、彼らの生きた、歩んだ道であり、証なのですから。

★★★ Excellent!!!

グルメ小説? 間違いない!
ただそこに、舌を痺れさすケミカル要素を忘れてはならない。

おもわず生唾を飲み込むような描写の、暖かい湯気のたつ料理とは裏腹に主人公たちの世界は冷え冷えとしている。
灰の降る街で秘密にしなくてはならないこと。
明日もわからない命。

そのことを悲観するのではなく、彼らは様々な思いを持って箸を、あるいはスプーンを、時には素手で目の前の料理を口に運んでいく。
私のおすすめは17番の話ですね。みんな読んで。

生きていくために食べるのだ。
それがちょっと苦くても。

★★★ Excellent!!!

〝食道楽〟〝わくわくグルメ〟の言葉に、初回からまんまと騙された。

灰の街で生きていくために任務を遂行する、トシヤとミィの二人組。
単なる捜査には止まらない任務内容を、彼らはこれからもこなしていくのだろうか……。

任務遂行までの楽しげな食事シーンと、任務の過酷さの対比や、SF要素の盛り込み方が素晴らしい。
もちろん〝グルメ〟要素も抜群。ラーメンをほぼ食べない私でさえ、美味しそうと思ったのだから、食事シーンの描写は本当にすごい。


重たい世界観、SF好き、一風変わったグルメ小説好き、たくさんの人に勧めたい物語。

★★★ Excellent!!!

近未来の日本、灰が降りしきる街。カウンターに並んでラーメンをすする、天真爛漫な少女と強面の大柄な男。
一見不釣り合いなこの二人は、人が怪物に変異してしまう奇病に対抗するため生み出された生体兵器・ミィと、その相棒である特務捜査官・トシヤであった。
バディを組んだ当初、ミィのことは単なる兵器、自分はそれを使役する立場でしかないと思っていたトシヤ。
だが、とある事件をきっかけに、二人は本物の親子のような信頼関係で結ばれ、過酷な任務を共にする日々を送っている。

『食レポ小説です』というやたらライトな謳い文句に騙されることなかれ。
これが結構ハードな世界観で、なかなかシビアな現実が描き出される、ビターな感じのSFバディ・アクションなのです。
重くなりがちな題材ですが、ミィの可愛らしさや軽い掛け合いが華を添え、コメディのノリを交えつつテンポよく読み進められる作品となっています。
そして食事シーンの美味しそうなこと。読むたびに腹が鳴ります。飯テロタグは伊達じゃねぇ。

誰かと同じ食卓に着き、同じものを食べるということ。
それには、単なる栄養補給以上の意味があります。
決して軽いとは言い難い過酷な任務を追う二人が、食事を共にするということの意味を、読みながらふっと考えたくなります。

登場人物も増え、ますます賑やかになってきた本作。続きも楽しみにしております。

余談ですが。キャラの私服の描写に作者さまのこだわりというかフェチズムらしきものを感じるのは、私の気のせいじゃないはず。

★★★ Excellent!!!

食道楽というと、異世界ものではもう既に定番らしいですが、SFで食道楽とは珍しい。
わくわくグルメ、なんていうサブタイトルもついているくらいだし、私のようなSFはそれほど嗜んでいない者でも読めそうかな、ということで読み始めました。
これって、タイトルから受ける感じと違って、かなりハードな内容じゃないですか。
灰の降る街で特務捜査官として生きるトシヤと、その相棒となることになったミィ。
単純にバトル自体も過酷ですが、二人の置かれた境遇がまた、救いが無く厳しい。
せっかくその地の人と仲良くなりかけた、と思ったら引っ越しを余儀なくされて、といったやりきれなさの繰り返し。
そんな中で、トシヤとミィの二人が少しずつ絆を深めていくのが良いところです。
全体的には連作短編という形式になっていて、一つのお話ごとに、二人は一つの決着をつけて前に進んでいくことになります。くどくなりすぎないSFガジェットと相俟って、本作品の読みやすさにつながっていると思います。
そしてなんといっても本作の特徴は、グルメでしょう。
それこそ異世界食道楽モノのような緻密な料理描写。そして、実際にはそんな大した料理でもないはずなのに、旨そうに食べる登場人物たち。
ハードでビターな内容のSFとグルメネタを、貴乃花のような真っ向勝負で融合させてくるとは。
いやでもこの斬新な発想と、そこから発生するなんとも不思議な食感こそが、この作品をSFたらしめている最たるものなのかもしれません。

★★★ Excellent!!!

わくわくグルメ。この言葉は確かに正しく、実に素晴らしく胃を満足させてくださいます。が、それだけでは終わりません。
唾液の分泌がとまらなくなり、胃をわくわくとさせてくれる食事風景だけでなく、重厚な世界観、深い人間関係や過酷な任務など厳しい部分が精神的な満腹感も与えてくれます。時折、そのハードさに胃もたれがおきますが、それすら癖になる最高級のスパイスです。
是非、ご自分の目と舌でご賞味ください。
きっと皆様、この灰の街の濃密で手厳しい味わいの虜になるでしょう。