読み始めて感じるのは読者の胃袋を刺激する美味しそうな描写。
まるで目の前で二人が食べているような感覚になり、読者の食欲がそそられます。
ストーリーは仄暗く、丁寧な描写が絶望感をより増幅させています。
キャラクターにはそれぞれ個性があり、読みやすい。
なのに、文章が丁寧かつ重厚でしっかりと世界観に入り込める、素晴らしい作品です。
何度も、何度も読み返すお気に入り作品です。
書籍化されましたので、書籍の方もぜひ皆さん読んでみてはいかがでしょうか。
ライト文芸は思えないほど分厚く、手に取った方は驚かれるかと思います(笑)。
色々と加筆修正されているので、新規の方もカクヨムで読んでいた方も楽しめるでしょう。
常に灰が降る街で、ドラッグ「ヒミコ」を使用し怪物化したモノを取り締まる特務捜査官と、ネコと呼ばれる少女のバディもの。
初めはぎこちない彼らが捜査と日常を通じて本物の絆で結ばれていく。
彼らを結びつけるもののなかで特に大きな役割を果たしているのは、おいしそうな食べ物だ。
食事シーンは間違いなく読者の胃袋を刺激する。
そして、食事シーンの素晴らしい作品に、外れはない。
第一部は完結したが、まだまだ謎が残ったまま。
これからトシヤとミィをはじめとする登場人物達がどんな事件に挑み、どう解決していくのか、とても楽しみだ。
SFでグルメネタ!?新しい!
と、タイトルとあらすじに惹かれて読み進めるうちに、一見相反する要素がきっちりと組み合わさって独自の雰囲気を醸し出しているのに魅了されてしまった。
灰降る近未来都市に謎の病という心踊るSF要素。
人外の少女と特務捜査官の男のバディアクションという萌え&燃え要素。
そして絶妙に差し込まれる、これでもか!と食欲をそそる飯テロ要素。
第一部は完結したが、まだまだ謎は残っている。この謎が今後どのように料理されていくのか、ミィやトシヤを始めとした魅力的な登場人物達の行く末はどうなるのか、最後まできっちり完食したい。
灰が常に降り注ぐ、ある未来の街。
その街で、「ヒミコ」というドラッグ使用者を取り締まるための特務捜査官・トシヤと、その相棒である見た目は少女の「ネコ」であるミィ。
二人の心温まる交流を描きながら、その一方で、彼らはシビアな任務に直面していく。
彼らの対峙する現実がシビアであればあるほど、ちょくちょく差し込まれる食事シーンの『飯テロ』がまた、美味しそうなだけでなくほっと心を和ませてくれるのだ。それは何も高価なものばかりではない。ラーメンだったり、蕎麦だったり、クッキーだったり。でも、それら何でもない食べ物が、こんなにも美味しそうなものだったのかと気づかせてくれるのもまた、本作の魅力だろう。
そして、主役であるトシヤとミィだけでなく、彼らを取り巻く他の「ネコ」たち、捜査官たちもそれぞれに色々なものや考えや過去を抱え、それでも現実を立ち向かう姿がまた心引かれる。それは、彼らが互いを強く思い合ってる様子が、行動の端々から感じられるからかもしれない。
読み終わった後、きっと貴方は、大切な人と美味しいモノを食べに行きたくなるはず。
『空腹感を煽り、食欲をかき立てる』――それが飯テロ。
しかしこの物語の飯テロという単語は、ダブルミーニング!
『飯テロ』であり『飯×テロ』でもあるのです!!
冒頭から、美味しそうな食事をこれまた美味しそうに口にする少女の描写に、激しく胃が刺激され『これは良い飯テロ』などとニヤついていた私でしたが…………第一話ラストに待ち受ける衝撃の展開に、胃だけでなく心まで持って行かれました!!
特務捜査官・トシヤとその相棒『ネコ』なる存在・ミィ。
二人が担当する事件は一筋縄ではいかないものばかりで、時に胸抉られるような悲しい結末に見舞われることもあります。
そんな中、ゆっくりと、しかし確かな絆を深めていく二人の姿はコミカルでありながら穏やかで温かく、過酷な状況であるからこそ、その優しさが際立ちます。
また、彼らを取り巻く個性溢れる仲間達も魅力的で、この灰色の世界に輝きの彩りを添えてくれます。
お腹が空くだけでなく、続きを読みたいと心までが叫ぶ、まさに飯テロ心テロな作品です。
確かにSFであり、確かに『わくわくグルメ』です。
毎回登場する食べ物、食事のシーンの描写が丁寧で濃厚で、飯テロ小説としての側面もある。
けれどポップなタイトルと読みやすく分かりやすい文体にどんどん引き込まれていくうちに、いつの間にか目の前に突きつけられた刃にハッとさせられる。
その時にはもう、戻れないくらい掴まれてしまっていることでしょう。
生きること、食べること。
主人公であるトシヤとミィを通して、私たちが日頃当たり前に感じているこれらのことを改めて考えさせてくれる作品です。
月並みな言い方ですが、笑いあり涙ありのエンターテインメント、読んできっと損はさせません。
SFとあまり接点がない?グルメものには興味がない?
そんな勿体ないこと言わずに、さぁ、灰の街に降り立ってみませんか?
近未来の日本、灰が降りしきる街。カウンターに並んでラーメンをすする、天真爛漫な少女と強面の大柄な男。
一見不釣り合いなこの二人は、人が怪物に変異してしまう奇病に対抗するため生み出された生体兵器・ミィと、その相棒である特務捜査官・トシヤであった。
バディを組んだ当初、ミィのことは単なる兵器、自分はそれを使役する立場でしかないと思っていたトシヤ。
だが、とある事件をきっかけに、二人は本物の親子のような信頼関係で結ばれ、過酷な任務を共にする日々を送っている。
『食レポ小説です』というやたらライトな謳い文句に騙されることなかれ。
これが結構ハードな世界観で、なかなかシビアな現実が描き出される、ビターな感じのSFバディ・アクションなのです。
重くなりがちな題材ですが、ミィの可愛らしさや軽い掛け合いが華を添え、コメディのノリを交えつつテンポよく読み進められる作品となっています。
そして食事シーンの美味しそうなこと。読むたびに腹が鳴ります。飯テロタグは伊達じゃねぇ。
誰かと同じ食卓に着き、同じものを食べるということ。
それには、単なる栄養補給以上の意味があります。
決して軽いとは言い難い過酷な任務を追う二人が、食事を共にするということの意味を、読みながらふっと考えたくなります。
登場人物も増え、ますます賑やかになってきた本作。続きも楽しみにしております。
余談ですが。キャラの私服の描写に作者さまのこだわりというかフェチズムらしきものを感じるのは、私の気のせいじゃないはず。
食道楽というと、異世界ものではもう既に定番らしいですが、SFで食道楽とは珍しい。
わくわくグルメ、なんていうサブタイトルもついているくらいだし、私のようなSFはそれほど嗜んでいない者でも読めそうかな、ということで読み始めました。
これって、タイトルから受ける感じと違って、かなりハードな内容じゃないですか。
灰の降る街で特務捜査官として生きるトシヤと、その相棒となることになったミィ。
単純にバトル自体も過酷ですが、二人の置かれた境遇がまた、救いが無く厳しい。
せっかくその地の人と仲良くなりかけた、と思ったら引っ越しを余儀なくされて、といったやりきれなさの繰り返し。
そんな中で、トシヤとミィの二人が少しずつ絆を深めていくのが良いところです。
全体的には連作短編という形式になっていて、一つのお話ごとに、二人は一つの決着をつけて前に進んでいくことになります。くどくなりすぎないSFガジェットと相俟って、本作品の読みやすさにつながっていると思います。
そしてなんといっても本作の特徴は、グルメでしょう。
それこそ異世界食道楽モノのような緻密な料理描写。そして、実際にはそんな大した料理でもないはずなのに、旨そうに食べる登場人物たち。
ハードでビターな内容のSFとグルメネタを、貴乃花のような真っ向勝負で融合させてくるとは。
いやでもこの斬新な発想と、そこから発生するなんとも不思議な食感こそが、この作品をSFたらしめている最たるものなのかもしれません。