灰の街の食道楽 〜SF世界のわくわくグルメ〜

作者 黄鱗きいろ(灰の街の食道楽書籍化!)

命を賭した任務の合間に、今日も二人はごはんを食べる。

  • ★★★ Excellent!!!

近未来の日本、灰が降りしきる街。カウンターに並んでラーメンをすする、天真爛漫な少女と強面の大柄な男。
一見不釣り合いなこの二人は、人が怪物に変異してしまう奇病に対抗するため生み出された生体兵器・ミィと、その相棒である特務捜査官・トシヤであった。
バディを組んだ当初、ミィのことは単なる兵器、自分はそれを使役する立場でしかないと思っていたトシヤ。
だが、とある事件をきっかけに、二人は本物の親子のような信頼関係で結ばれ、過酷な任務を共にする日々を送っている。

『食レポ小説です』というやたらライトな謳い文句に騙されることなかれ。
これが結構ハードな世界観で、なかなかシビアな現実が描き出される、ビターな感じのSFバディ・アクションなのです。
重くなりがちな題材ですが、ミィの可愛らしさや軽い掛け合いが華を添え、コメディのノリを交えつつテンポよく読み進められる作品となっています。
そして食事シーンの美味しそうなこと。読むたびに腹が鳴ります。飯テロタグは伊達じゃねぇ。

誰かと同じ食卓に着き、同じものを食べるということ。
それには、単なる栄養補給以上の意味があります。
決して軽いとは言い難い過酷な任務を追う二人が、食事を共にするということの意味を、読みながらふっと考えたくなります。

登場人物も増え、ますます賑やかになってきた本作。続きも楽しみにしております。

余談ですが。キャラの私服の描写に作者さまのこだわりというかフェチズムらしきものを感じるのは、私の気のせいじゃないはず。

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