己の死を以て養家に復讐しようとした生贄花嫁は、幸せな人生を生き直せるか
- ★★★ Excellent!!!
ドアマットヒロインが無理やり嫁がされ、溺愛されて幸せになる。一言でまとめてしまえば、流行りに乗ったよくある話に思えます。
だけど。
ヒロインの行動原理が、自分を虐げてきた養家への復讐心だとしたら?
言われるがままアヤカシの花嫁になったのも、ここまで耐えて生きてきたのも、全てそのためだったとしたら?
本作の主人公・紬は、ものすごく意思の強い少女です。
復讐のためなら躊躇いなく自分の命を投げ打つ、ある意味で潔い、しかし哀しい生き方しかできないタイプの強い女なのです。
夫である妖狐・詩は紬を大切にし、愛で包み込もうとします。
王道に沿ったストーリー展開ですが、紬がただただ溺愛と庇護を享受するだけではないのが、特筆すべき点です。
戸惑いながらも人の情として詩に歩み寄り、ピンチを自力でクリアし、己の存在意義と向き合い、揺るがぬ意志で不幸の元凶である養父と対峙する。素晴らしく魅力的なヒロインです。
詩の想いの理由や、紬にとって大切な存在の話が明かされた時、きっと誰しも彼女の幸せを願いたくなるでしょう。
冒頭で自ら死を選ぼうとした少女は、幸せな人生を生き直せるのか。
ただの溺愛ものに留まらない物語です。ぜひご一読ください!