ビルの大爆発に銃撃戦、スピードを落とすと爆発するバスの運転に、墜落間近の航空機の操縦まで。
映画ファンなら思わずニヤリとしてしまうオマージュを盛り込み、テンポ良い文章が鮮やかにド派手シーンを盛り立てる、まさに「読むアクション映画」と呼ぶに相応しい作品です。
獣人に変身する青年「ピーチ」と、記憶喪失になった女暗殺者「一徹」のW主人公が織りなす物語。
「滅亡エンジン」なるオーパーツを体内に持つヒロイン・海蕾を、遅いくる刺客どもの手から守り抜けるか⁈
普段は穏やかなのに興奮すると獣化してしまうピーチのアンバランスさが面白い!
記憶がないくせに全部を飄々とした舌先で乗り切る、銃器のスペシャリストな一徹がカッコいい!
そんな二人の掛け合いが楽しい!
見どころを挙げ始めるとキリがありません。
登場する場所は全て日本国内なので、「あの場所でこんなことが起きたら?」というリアルな想像もできます。
銃器の専門知識に裏打ちされたガンアクションは必見。トップレベルのエージェント同士による戦いのリアリティがすごい。
入り乱れる敵と味方!
次から次へとノンストップでやってくるピンチ!
世界の平和は二人の手にかかっている!
戦いの結末は、ぜひご自身の目でお確かめください!
UFO、UMO、幽霊など公式には存在しないとされている事案を担当するクサナギの別班「ペントハウス」に所属する李一朗は、UFOに誘拐されて背中にタトゥーをいれられたという美少女早乙女海蕾のところへ調査に赴きます。
すべてはそこから始まったのです。
そして同じく事件に巻き込まれるべくして巻き込まれた結果、記憶を失った女暗殺者(名前を知りたい人は本文をどうぞ)とともに早乙女海蕾の警護をすることになるのですが……。
本作、なにより私の心をくすぐるワードが満載です!
「オーパーツを破壊して回る暗殺集団」「カーの心臓」「滅亡エンジン」「獣化」「記憶喪失の暗殺者」。
もうこれだけ見ても「なにそれ!どんな物語⁉」って思うでしょう⁉
かつ、章タイトル、小タイトルをご覧ください。
「アクション映画好きにはたまらん!」となること間違いありません。
ところで。
こういうSFチックな物語って、世界観や設定を説明するのが難しいんですよね。
ともすると冗長に説明回が続き、「あ、もういいや」とフォロバされたり、なんとなく読み飛ばした結果、「え?これ、なにがどうなってんだっけ」とついていけなくなったり。
ですが、やっぱりそこんところがうまいなあ、と思います。
必要最低限の情報を提示しつつ、女暗殺者と獣化草食系男子の軽快なやりとりも交え、まったくこう……読んでいてストレスがない。
そしてなにより手に汗握るスリリングな展開。
それをチープな言葉では表現しない技術。この作者様、アクションシ―ンを描かせたら、もう絶品。それは保証いたします。
現在、速度を落としたら爆発するバスに乗り込んでしまった(さあ、元ネタはわかりますよね?)主人公たち一行。
彼らの活躍をどうぞ最後までご覧ください!