思いを形に込めるため、今日も彼女は鶴を折り。

舞台は群馬県。
学生時代に出会い、社会に出てから再会した男女が織り成す恋模様。
なのですが、一筋縄ではありません。
恋には、山あり谷ありが付き物ですが、

彼女・花村さん。
彼氏・田沢くん。

正直、めでたく想像する通りの仲になってくれるのか。
最後までハラハラしました。

何故なら、彼女・花村さんの辿って来た状況が最後の壁だったからです。
人は、それぞれ生き様を背負っているものです。
それを見つめ、出しゃばらず、そっと隣に居てあげられる。
時に彼女から「傲慢」を引き出せる。
恋する男・田沢くんは凄いと思いました。

世界遺産に触れられる『千羽鶴、承ります』
人も文化も、その時々、状況で役割も受ける印象も、その価値観の共有も違って来ます。
花沢さん、田沢くんを通して、教えて頂いた気がします。

世界遺産・富岡製糸場。
季節を巡る、地元風景の豊かな文章。
辛い事も、嬉しい事も、万華鏡の中で煌めくような物語でした。

命がほころぶ恋愛ものは、素敵なジャンルですね。
素晴らしい作品を届けて下さって、ありがとうございました。

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