重なりあう幾つかのキセキが、かけがえのない絆と柔らかな思いを運んでくる

ある石を通じて、特定の場所で言葉だけを交わすことができる。お互いに孤独と淡い恋心を抱えた大学生の男の子と高校生の女の子が遭遇した不思議な出会いが、ふたりの今を変えていく物語です。

好きな人に思いを伝えるという王道の展開や、物語が進むにつれて、無関係に見えたふたりの間柄が明らかになっていく面白さに加えて、純粋でひたむきな登場人物たちと、それを描きだす柔らかな筆致に惹きつけられました。さらには主人公ふたりだけではなく、彼らに恋心を抱いた人たちにまで、キセキが用意されているのですから、作者さまの人柄に触れたような、そんな気持ちになります。

「キセキ」という言葉にみっつの漢字があてられるこの物語、恋愛ものや青春ものが好きな方や、少し不思議な物語が好みの方にお薦めいたします。

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