献身と愛情で世界を包んだ創造主は、今日も人々に寄りそい、その未来を作る

十六番目の物語を読みおえたあとの読後感が、まだ胸の奥でやわらかな熱を放っています。

外殻で覆われた惑星群を舞台に、そこに暮らす人々の暮らしを描いたオムニバスには、まだ見ぬものや手の届かないもの、失われてしまったものへの憧れが綴られていました。
それぞれの物語を繋ぐのは、ひとりの天才女性科学者と、かつて暮らしていた惑星を逃れて移民してきた彼らの歴史です。
断片的に提示される情報が、作品を読みすすめるに従って繋ぎあわされ、女性科学者と惑星ゼロについての真実が明かされるとき、彼女と彼の歩いた長い長い道のりが、そして遠い遠い未来が目の前にひろがりました。
この読後感こそが、この作品の一番の魅力です。

慌てて読んでは勿体ないです。
ひとつひとつのお話をじっくりと味わって重なりあう部分をみつけ、ときには後戻りしながら最後まで読んでください。きっと切なくも優しいが心に満ちるはずです。

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