ふたりの天才の出会いとそれぞれの願いが、人類を新たなパラダイムへ導く

「幾つもの流れが寄り添いあって、やがて大河を生み出す」
この物語の魅力をお話しようとして浮かんだのは、そんな言葉でした。
東西冷戦中のロシアと現在のアメリカという異なる時代と場所で活躍するふたりの天才、そして日本に暮らすひとりの少女、同時に進行していく登場人物たちの物語は遠く隔たっていますが、いつしかバランサー・プロジェクトという人類の新たなパラダイムへ向かって流れはじめます。

何より素晴らしいのは、同時に進んでいく幾つもの物語やバランサー・プロジェクトに至る経緯を、するりと抵抗なく読ませてくれる作者さまの筆力だと感じました。
読み進める従って繋がりが明らかになっていくそれぞれの物語を、楽しみながら追っているうちに、人としてとても優しいふたりの天才の出会いが導き出す、バランサー・プロジェクトに辿り着かせてくれるのですから。

未来を思い描く胸の高まりが詰まった作品です。
SFが好きな方は勿論、大切な人を思う気持ちを描いた物語が好きな方にもおすすめできます。

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