コンセプトは◎だけど……? 

※一日目を読み終えた時点でのレビューです。

 今まで魔法やチートやその他諸々でスルーされてきた言語問題に鋭く切り込んだだけでなく、綿密に作り上げられた架空言語と、それを一歩ずつ解読していくという途方もない事をやってのけるとは、ただただ圧倒されるばかりです。疑問に思っても普通はここまでやらないしできないです。
(ちなみにSFの分野では、言語どころか「大気組成が違うから呼吸できない」「異邦の食べ物や飲み物が主人公たちにとっては毒」「そもそも相手が人型ではない」等が当たり前だったりするので、異世界転生ものの御都合主義は言語だけに限らないのですが……。閑話休題)

 そういった面に於いてはこの作品は素晴らしい物ですが、小説としての完成度は? と問われると、些か難ありと感じました。
 例えば、地の文が三人称視点のはずなのに、主人公の思考や感情をシームレスに挟んでくるところは読んでいて混乱しました。「分からない事だらけの異世界を手探りで進む」という構成を考慮すると、一人称(主人公)視点で書いた方が、読み手も入り込みやすくなるのでないかと思います。
 あと、文節が長く、句読点もないため「?」となる箇所もいくつか見受けられました。
 これに関しては私の読解力が低いだけと言われればそれまでですが、可読性を高めることはプラスになりこそすれ、マイナスにはならないと思います。
(「改行を増やせ」「行間を多くしろ」というラノベ/Web小説特有の話ではありません)

 作品のコンセプトとしては非常に面白いですし、並々ならぬ情熱を注いでいる事も十分伝わってくるので、あとは「小説」としてのブラッシュアップに期待させていただきます。

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