息をつかせぬアクションに彩られた、さまざまな思いに揺れる女性たちの物語

この作品の一番の魅力は何ですか。もしそう尋ねられたなら、登場する女性たちです、と答えます。
自身の弱さを知りながら、強くあろうとするヒロインのキッカさん、そして作中の癒しユナさんや眠り姫ハルカさんが魅力的なのはもちろんですが、川島博士の妻メイコさんの苦悩と葛藤が描かれたとき、その感情の激しい相克に、彼女が女性であるということに、つよく惹きつけられずにはいられませんでした。
他の作品を拝読して思っていたことを改めて確信しました。すずひめさんの描かれる女性は、とても女性らしいのです。
キッカさんの不安な気持ちを誰かへの思いで支えようとする脆さや、ユナさんがゆれる綺麗な自分と醜い自分との狭間、そして、ハルカさんの深くてまっすぐな慈愛や、メイコさんの身を焼きつくすほどの激情、それらに共感してしまうのは、誰の胸にもそうした感情が宿っているからではないでしょうか。

そしてもちろん、この物語にはもうひとつの、大きな魅力があります。それは、息をつく間もないほどの、危機また危機、アクションの連続です。
特殊工作員のキッカさんが任務を行うところから始まる本編は、ページをめくる手を止めさせないほどにスピード感のあるシーンが連続して、読む人を物語の先へ先へと引っ張っていきます。
誰もがきっと満足するほどに迫力と勢いのある展開、ここに触れないわけには参りません。

エンターテイメントを楽しみながら、登場する女性たちの心の声に耳を済ませてみてください。彼女たちがより一層身近に、そして魅力的に感じられるはずです。

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