概要
そうして見つけた方法は、人を生き返らせる力を持つ《神》を、呼び出すことだった。
その《神》を呼び出す条件は、綺麗な心を持った十八歳の少女を生贄に捧げること。
しかし普通の十八歳の少女を捧げても、《神》は現れなかった。ならば、と、富豪の男は綺麗な心を持つ十八歳の少女を“造る”ことにする。
生贄を造るための実験がはじめられ、さまざまな魂が集められる。
高嶺桜花はその魂を集めることが仕事だった。
だが、桜花は生贄として完成した少女と逃げることになる。
少女に、心を奪われたから。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!彼女のためならば、どこまで堕ちても構わない
人が人の生命を、魂を操ることは許されるのか。それがたとえ、大切な人のためであっても?
人間の魂を操る術を得てしまった人々が織り成す、いびつで美しい物語でした。
なんと言っても、愛らしい存在感を振りまくヒロインの御影が可愛い。
彼女に対する主人公の桜花の葛藤と苦悩もまた、生々しく描かれていました。成熟した見た目と、庇護欲を掻き立てられる無邪気な子供の魂。そんな彼女のギャップに煩悶する様が読ませます。事情はどうあれ、どうしたって二人の関係は男と女。子供らしさが時にはコミカルですが、ハラハラさせられたり、男としての理性を試される一幕もあったりで、飽きさせません。
彼女を絶対に守る!と強い決意を抱…続きを読む - ★★★ Excellent!!!無垢なる魂との逃避行の果てに
この作品は主人公桜花の抱える葛藤が細やかに、現実的に描かれている点がまず印象に残りました。追手の追跡を躱しながらの逃避行は臨場感に溢れハラハラさせられます。
だからこそヒロイン御影との平穏な時が愛おしいと感じる主人公の気持ちに説得力があり、読者に共感を抱かさずにはおかないのではないでしょうか。
主人公の末路は貫井徳郎氏のとあるミステリー小説(*下、ネタバレ注意)を思わせます。本当に求めているものは、既に手に入ることはないでしょう。主人公はそれを実は知っていて、それでも自分のパラノイアに囚われてどうすることもできずにいるように思えます。仮に御影が桜花の求めていた姿に戻っても、御影との関…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恋は盲目。狂った愛がたどり着いた場所とは?
作者さまの作品を評価するのは三度目になります。全てに共通するのが、歪な世界設定だとしても、登場人物たちの心理を深く掘り下げ、とてもリアルに描かれるということです。
本作品もその点は見事でした。まずは設定の歪さからくる独特の緊張感、登場人物たちに与えられた設定、それらが融合した世界で、主人公が苦悩する姿は、まさに恋は盲目という言葉に通じるところがありました。
ラストはバッドエンドのタグ通りですが、主人公の内面が詳細に描かれているため、そうなってしまうのは仕方がないと思えました。
狂気と純愛は紙一重。そう感じさせてくれる良作でした。ぜひみなさまも一読されてみてください。こうした愛の形を取る…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ダークと言えばダークな世界、しかし……
内容はタイトルの通り、18歳の少女の中に5歳の魂が入れられた話です。
生贄少女という字面から予想されるような、グロテスクな表現も無く
どちらかと言うと主人公は正義のヒーローっぽい活躍を見せます。
しかし、バッドエンドのタグがあるように、メデタシメデタシで終わる
こともありません。主人公が生贄少女のために悩み、苦しみ、そして
自分の生きる意味を見つけ出す。その後に待ち構えていたもの、
果たしてそれは誰のためになるのか?
それがバッドエンドの正体となっています。
バッドエンドでも、読者に考えさせるバッドエンドはハッピーエンドに優る!
つまりは、こういうことでしょうか。