情感豊かに描かれる、本能と理性の闇

※ネタバレ含みます。




褒め言葉として使いますが、暗いです。暗澹たる気分になります。
主人公とヒロインの逃走劇、その中で変質していく二人の関係。怖いもの見たさでぐいぐい引き込まれます。

そしてあれほど、かつての自分の組織に反抗していた主人公が闇落ちし、自分も同じことを行い始めるという負の連鎖――。

この救いのなさ、絶望感、清々しいまでの暗さ、クセになりますね。

主人公が本能と理性の間で酷く困惑し、自己嫌悪に陥る場面の重さ――筆致の安定感ゆえに、描かれる内容の衝撃が大きく、凄まじい読書体験ができます。

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