大変考えさせられる作品でした。単なる『自己vs他者』『自己vs現実』ではなく、血を分けた存在である『家族』と自分との葛藤が浮き彫りにされています。この言語化の難しい、しかし確かにそこにある『不愉快な何か』が、読者の心を強く揺さぶってきます。
今作のタイトル『私は家族に囚われている』は、これ以上ないほど作中のドラマと一体感があります。一方的に攻撃されたり、傷つけられたりしているのではありません。
そこが非常に厄介で、片方が完全な悪ならまだ楽かもしれない、などと不謹慎なことを思ってしまうほど。
じわじわと現実に立ち会わされる薄暗さ、刺さる方には相当刺さると思います。