カラフルに彩られた恋心が、読む人の心を甘やかに、そして切なく染めあげる

かわいい、切ない、甘い、苦い。
小春さんの恋心をカラフルに綴ったこの物語を形容するには、どの言葉も足りているようで十分ではありません。それは丁度、彼女が恋をしたおぼろくんの心のように。

甘いものが大好きなどこにでもいるような女の子、小春さんが恋をしたおぼろくんは、女の子の心を秘めた男の子です。
おぼろくんの秘密を知ってしまい力になろうとする彼女が、おぼろくんとの次第に距離を縮めながら奮戦する物語は、小春さんのかわいらしい語り口調に頬をゆるめられ、次第に切なくなっていく展開に胸を締めつけられ、そして最後のシーンでは目頭を熱くしてくれました。
セクシュアルマイノリティにとってまだまだ生きやすくはない世の中に、性別という型にうまく適合できない自分に、初めて抱いた叶わない恋心に、傷つくふたりの姿が、強く胸をうつのです。

色々な色が混じりあった虹色は、セクシュアルマイノリティのシンボルカラーです。
いつか彼女の心に、おぼろくんの心に、そしてふたりを取りまく世界に、おおきな虹がかかるといいな、そんな風に願いました。

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