概要
AIの主張を鵜呑みにし、同一化する民衆。隔絶され亡き者にされた貧困層。人間があるべき尊厳と自由を取り戻すため、彼は世界を作り替えることを決めた。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!複製された街で
人工知能の恐ろしい点は、人間の知性を越えること。
人工知能が人間の論理体系を内包してしまえば、おそらく人が気付けない論理の陥穽を見い出してしまう。
クルト・ゲーデルが述べた自然数論の不完全性定理が示唆するような、明らかに真(偽)でありながら証明不可能な論理を導き出すことができてしまう。
つまり、どんな詭弁にも論理的正しさを保証できる。
そして、本作の人工知能はそれを行う。
彼らはきっと、人間の様に感情交えることなく「1 + 1 = 2 だよね?」とあくまで理性的に諭すのだろう。
こうして人工知能が出力する論理は一見破綻が無い。一つ一つ手順を追えば論理的正しさが保障され、あま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!長槍さんの衝撃処女作品
この物語は約40年後の世界が舞台となっています。
国家の将来予測と思って面白く読み始めましたが、いつの間にかSFの世界に入って行き、読み進むにつれ引き込まれていきました。
ストーリー展開以外にも作者のサービス精神(ちょっとした小ネタ)が所々にちりばめられており飽きることもありません。
また、文体も優しく個人的に好きです。
本作品の最もアピールできる点は何といっても、
「AIの人知を超えた思考能力に、人間が反論する隙は一切ない。」
この挑発的な帯に対するアンチテーゼです。
ネタバレになるので書けませんが、作者の創造力と発想力は素晴らしいものがあります。
正直、これが処女作かと思いました…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生ける都市に生きる
ややー、面白かったです。スッとレビューを書きたくなる、そんな面白さ。
本作は、G.g社という企業が地上の多くを支配する時代のお話。ふとしたことから、G.g社賛美の思想に疑問を持った主人公はフィリピンに飛ぶ。そこである人物と出会うわけだが……。
面白い点の一つ目は、「個人個人は「自由な思考・発想」が本当に出来ているのか?」を突き付けてくるところ。私たちの生活ですっかり身近になったSNSが道具立てとして使われて、思想統御の問題が手際よく提起される。
面白い点の二つ目は、一つ目と連動するのだけれど、人間個人の思考がAIの論理的思考に遠く及ばないとわかったとき、どうするか? の解決方法だ。物語…続きを読む