mitochondria

長槍

解析要求と添付資料説明

この電子紙片とメモは、私が古い友人から譲り受けたもので、曰く、背面が破られた有機藁半紙で構成された手帳型デバイスの寄せ集めと、ボールペンで書かれたとみられる本物の藁半紙で、友人自身でなるべく書かれている時系列にしたものだという。書かれている日付から察するに、人類が労働し、その対価として通貨を使用し生きるという形式をとっていた時代の最後と今の時代をつなぐ貴重な資料である可能性が高いので、解析を仰ぎたくここに公開する。あらかじめわかっていることは、


・手帳に書かれていたであろうテキストデータからの情報欠損率は10パーセント未満と少ないこと


・この電子紙片の筆者は鍵谷翔という元日本人で、彼はG.government社所属社員として二〇五四年二月中旬頃に母国の日本を離れ二年間フィリピンに滞在し、所定の業務を終えた後帰国したようである。帰国した半年後、つまり二〇五六年八月中旬頃に彼は北朝鮮に赴いたのち、消息を絶っている。


このことは、紙片をまとめた友人が情報銀行のデータベースで検索を行い特定できたことであるが、残念ながら上記以上のことはデータベースからは解明できなかった。以下、電子紙片とメモに書かれた本文である。

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