真昼の夜の部屋

散らかった部屋に人間一人

死んでしまった夢を

手の中にそっと包み込んで

ドアにはカギをかけている


人には心の奥底に

自分だけの部屋がある

自分でいられる

たった一つの場所を


だけど

ぼくの部屋のカギを

あなたも持っていた

一人の部屋が

二人の部屋になった


カーテンが開かれ

太陽の光が差し込む

部屋はあたたかくなった

もう寒くなんかない


けれど


夜は思ったよりも早く訪れた

あなたはぼくだけの太陽ではなかった


太陽のない部屋はひどく寒い

あたたかさに慣れてしまったから

こんなにつらいのなら

はじめから太陽なんていらなかった


ぼくは新しい部屋を探す

今度はドアを開けられないよう

ドアノブを壊した

カギ穴をふさいだ


この部屋には窓がない

どこも真っ暗

これがぼくの部屋

ぼくの心


もう誰にも

開けさせはしない

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