草原恋歌

朝の霧に包まれて

草原は静かな時間の中をうつろっています

草の色を映した雫がすべって

土の上へと落ちていきます

じゅわりと膨らむやわらかい土のかたわらに

少女の足が見えます

ゆるやかな斜面です

霧が立ち去り朝日が漕ぎ寄せてくると

少女はゆっくり起き上がります

左手に籠を持って

色とりどりの果物を一つ一つ取り出し

布で丁寧に拭くのです

陽の光が長いまつ毛の下にすべりこんで

青い瞳はよりいっそうの輝きをまとうのです

赤い果実に緑の木の実

少女はいたわるように撫でています

背の低い木に小鳥が飛んできました

少女は鳥にほほえみ

また草原の下のほうへと目をやります

小さな粒が動きました

粒は少しずつ大きくなって

やがて人の姿だとわかりました

少女は籠を手に立ち上がります

大きく手を振って人の名を呼びます

相手にそれは届いたのでしょうか

駆け下りていく少女の背中を小鳥が見ています

この草原で

ほほえましく輝かしい二つの時間が重なろうとしています

なんだかいい気分になって

小鳥はようやく鳴きました

歌うように鳴きました

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