山風虎

虎が鳴く

 虎が鳴く


山の化粧おしろい 雪落とし

 長き夜には眠るのみ

  我 悲しきと 山のいろ

   べに 失えば 白なお深く


虎が泣く

 虎が泣く


爪に舞い落つ 紅葉々もみじば

 宴 しまいと 土の上

  枯葉 一つと残さずに

   秋よねよと 吼え泣いて


虎が哭く

 虎が哭く


冬は底冷え 白銀しろがね

 山の木立は 枝晒し

  秋には見えぬ 隠れ道

   新雪あらゆき乗せて 枯野を白く


我は山風 冬を抱き

 山よ眠れと 雪を吹く

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