朝は来ぬ

日暮れて 朝恋し


静やかな夕闇の

染まりくるわびしさ

遠き夕月に浮かびくる

山並みの線の

朦朧たる曖昧さに

夜は覆いかぶさる


野焼きの残り香を

そろそろと連れて来たる

草逝かば灰

塵芥びゅうと巻き上がり

夜に紛れゆく

飛べねば落ちゆき網戸にかかる

その向こうに私の影


父よ

母よ

妹よ


私は待っている

皆の帰りを


やがて陽光地を照らし

家々はまぶしく

梁に揺れる私だけは

依然として夜をまとったまま…

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詩集「星のかのかを傾けて」 雨地草太郎 @amachi

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