小説を書き続けるうちに詩的表現に魅入られるようになった自分が、『山風虎』を読んだときに、時間の止まる感覚を覚えた。忘れられないものがある。忘れたくないものがある。記憶は大地の息吹とともに、生命に根付いている。感傷も怯えも痛みも、あたたかな言葉の魔術でくるんでくれる。そんな素敵な詩集でした。