夜の滴の御星

母の声に耳も貸さず

少年は屋根にのぼっていった


散りばめられた星々は、夜空にぷかぷか浮いている


ふる

ふる


かすかにふるえる星が見つかる


やがて星は夜空をこぼれて、空と大地のあいだ、

澄み渡る空気の中をどこまでもしたたり落ちていく

白い光、白い滴が

長い尾を一瞬の残像にして夜空の彼方へ消えてゆく


空の向こうには星々が集まるという

人はまず星になり、彼方へゆくのはそのあとだ

ぼくの旅はまだ半分も進んでいないのだ

少年はじっと、

夜空にも似た瞳の澄んだゆらめきに

やっと半分まで歩いた祖父の星を映している


やがて瞳は泉を湛えて

星の光を屋根にこぼした

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