所謂メタフィクション、というべきなのでしょうね
物を書く者なら誰もが行うであろうキャラ製作、それをメインに見据えた確かなホラーです
小説において、キャラが我を持ち勝手に動く、となればキャラの作成において十分に感じますが、それが暴走したらどうなるか
そしてそれが果たして自身の味方か? 人格を作るわけですから、これは恐ろしい
本作はその有り触れた精神の危険から逸脱し、侵食という人格の否定に繋げていて恐怖感が更に増している気がします
最後のセリフは、誰が漏らした言葉なのか。深く考えれば恐るべきホラーであり、浅く楽観を持って考えればリアリティのある自嘲であるのだから、綺麗な終わり方です
個人としては、願わくば楽観でありますように……書く者としては、ほら、人格に侵食されることってよくありますから
今回の物語の主人公のように、キャラクターを創る際にそのキャラのプロフィールをじっくりと考え、その刺激を受けた際にどのような行動をするか、つい妄想を膨らませてしまうという事を行った人は多いかもしれません。
そう言った、些細な事でもキャラクターの詳細をしっかりと考えておくことは、物語に深みを与える際に多大な効果をもたらす、と聞いたことがあります。まるで、そのキャラが現実にいるかのように。
その奇妙な事実に気づいた瞬間、物語は日常系の創作ジャンルから恐怖の構築へと変わります。
もしかしたら自分たちも……?意識をつい疑ったり、耳を塞いだりしたくなってしまいそうな、創作者にとっては強烈なオチが待ち受けている、ホラー作品です。