第4話 天からの授かり物

 「そりゃあ、おまん、子供や言うもんは、神さんからの

授かり物、天からのお指図ぜえ。

人間の都合で、どうやこうや言うもんでも

するもんでもないき。

自然の授かり物やき、自然に大事にすりゃあ、それで十分よ」


宮地のおんちゃんの言葉を、二人して神妙に聞いている。


「幸さんも初めての子じゃないし、4人も立派に育てちゅう。

さいわい、坂本家には、乙女姉やんもおる。

他の兄弟も皆大人じゃき、皆で幸さんを助けてくれるじゃろう。

心配せんと、自然にまかしや。

丁度、鏡川の流れのようにな」


「はい ありがとうございます」

幸が頭を下げながらお酌をする。


「案ずるより 産むが易しと言う諺もあるき、心配しな」


「長兵衛も、幸さんを今以上に大事にして、のう」


「はい、胆に命じます」


「御神籤のことは、気にせられんぜ。あれはのう、凶が出たから

病気になるとか、災いが降ってくるというものでは無いがぜよ。

そういう事に対しての準備を怠らんようにと言ういわば、忠告みたいなもんでの。

気にせられん、気にせられん。何やったらお宮に行ったら大吉が

わしのところの引き出しにぎょうさんあるきに、届けさせようかのう」

3人が大笑いしてお開きとなった。


 幸も何やら胸のつかえが降りたようで

その晩は、ぐっすり休めたらしい。


季節は3月の末となり、鏡川の土手にも、ちらほらと桜が咲き始めた。

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