第11話 亜車の追憶2

 妙に嫌な予感がしてあせった俺は付近をくまなく探した。雨のせいもあって、すっかり周囲は暗くなっていた。すると、遠くの路地で点滅している電柱の電灯下に見覚えのある黒い折りたたみ傘が転がっていた。その傘をあわてて取りに行くと、薄暗い周りから何か違和感を感じた。それは上空から降る雨にまぎれて、黒い折りたたみ傘にれていた。おそる恐る頭上を見上げると、点滅している電灯部分に夜蛾ヤガが群がる中、血まみれの人間がつるし上げられていた。それは、まるでヒトバシラのように…。


阿鼻あびきょうかん


俺の記憶は、そこで途切れている。

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